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田丸 美寿々さん
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「連れて行って下さい」「教えてください」
- 田丸
そういう中でも、例えば、最初に私がついたのが天気予報だったんですね。で、「やっぱり天気予報か。お天気姉ちゃんか」みたいに思っていたんですけど、週に3日担当だったんですね。午後に、気象庁の中庭にある気象協会に行って、まずそこで情報をもらって、1分半ですから、自分で短い原稿を書いて。だけど世の中はどんどん動いているから、記者の人達とか先輩の男性のアナウンサー達は、どんどんいろんな現場に行くんですよね。
で、私は結構時間があったから、少しでも現場の空気に触れていたいと、「連れて行ってください」と言って、一緒に金魚のフンのように、中継スタッフと一緒に出たりとか、取材スタッフと一緒に出て現場を見ているみたいなこともあった。「世の中は動いているんだし、私、せっかくテレビ局に入ったのに、どうして今動いている世の中を自分の目で見られないの?」って。
- 佐々木
それで自分から「連れて行ってください」と?
- 田丸
頼んで、「連れて行ってください」とか、分からない事があると、解説員室というのがあって、解説員のおじ様達がたくさんいて、結構その方達もお暇しているんですよ。なので、分からない事があると、「すみません、このニュースはどういう事なんですか?」とか言って、聞きに行くと……。
- 佐々木
それはニュースの内容とかもですか?
- 田丸
ええ。例えば、その日のニュース、「どうして、アメリカはこういう対応をソビエトにするんですか?」みたいな事とか、分からない事があると、たまたま同じ階でしたから、聞きに行くんですね。そうすると、「いらっしゃい、いらっしゃい」とか言って。
- 佐々木
可愛がられますよね。
- 田丸
そうなの。喜んで教えてくださるんですね。気象庁でも、天気のことを勉強しようと思ったら、予報官の方達とか気象協会の人達が、すごくいろいろ丁寧に教えてくれて、本を読むよりはるかに勉強になりました。
- 佐々木
それはそうだなと思いながら、私はなかなかそれができなくて……。
- 田丸
本当に? だって、暇なんだもん、自分の仕事があんまりなくて(笑)。
- 佐々木
いや、聞きに行けばいいなっていうことは、今うかがえば分かるし、私もきっと部下がそういう立場にいれば、「先輩に聞けば?」なんて言いそうなんですけど、自分がその立場でいた時を思い起こすと、もう右も左も分からなくて。で、よくわからないと、「何とか自分のサイドで、まず勉強しちゃおう」って。で、「この人達は、もしかしたら私を相手にしてくれないかもしれない」っていう臆病な気持ち。もう怖い、何か変な事をして怒られちゃったら困るので、触らないようにして、こっち側で勉強しようって思っちゃったりするんですけれども。それが悪かったんですね。
- 田丸
それは、たぶん、まだちょっと自分のプライドがあるからだと思うの。
- 佐々木
(笑)プライドがあるからなんですか。
- 田丸
馬鹿だと思われたくないとか。
- 佐々木
そうかな。怖いんですよね。怒られたら怖い、とか。
- 田丸
私はその頃は、要するにプライドも何もなくて。そもそも「若くて可愛い子が天気予報をやっていればいいじゃん。で、若くなくなったら、取り替えりゃいいや」っていうことで、契約4年なんですから。4年っていうことは26歳ですよね。大体25歳ぐらいになると肩叩きが来ていた時代です。だったら、「この何年間かは、プライドも捨てて、とりあえずこのテレビ局に入ったんだから、せっかくこの場を得たんだから、見るものだけでも見て回ろう」って。
で、プライドを捨てれば楽しくてね。皆、そうやっていくと、可愛がってくれるんですよ。「何か、元気な子がいるね」みたいに。で、現場に行くといろいろ盗めるんですよね。例えば、「張り番って、こうやってするのか」とか、「中継は、こうやったらいいリポートができるんだ」とか、「こういうアングルで撮ると、状況ってすごく生き生きと撮れるんだな」とか、いろんな勉強ができて、皆先輩だから教えてくださって。で、だんだんそうやっているうちに、「私は、もし道が開けるんだったら、この世界でやって行きたい」っていう風に、だんだんワクワクしてきたんですね。
- 佐々木
それは入社してから大体どのくらいでそう思いました?
- 田丸
入社して1年目の秋から、やっと。だから、半年ぐらいは、本当に訳も分からずにいろいろやっていて、入社した年の秋に初めて天気予報の仕事を頂いて。で、天気予報の仕事をしながら、ずいぶんいろんな現場を見て歩きました。
- 佐々木
さすがです。私はニュースステーションに入っても、分からなかいことだらけで、3年ぐらいたって、やっと「面白いな」って(笑)。
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