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田丸 美寿々さん
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キャスターとして、私はどのスタイルだろう
- 佐々木
報道をしていると、先程の話のように、20代の時はガーンと「これ、やっつけてやれ」みたいな強い思いがあって、それが、だんだん人間として自分も成長したり、丸みが出てくると、何となく両方の言い分が分かったりしてきちゃうじゃないですか。
で、私なんか、結構、客観的にものを見るのが得意なタイプの人で、両方の話を聞いていると、両方納得しちゃうんですよね。で、「さあ、お前はどっちだ?」って言われた時に、逆に決めかねちゃうっていうか。分かり過ぎて。両方が分かる自分も嫌いじゃないんだけれども、でも、ニュース現場では、ただ両方の意見をいうだけということはできないんじゃないかなあと。でも、両方分かっちゃうんですよね。
- 田丸
そうなんですよ。たぶん、キャスターっていろんなタイプがあって、それこそ、かつての久米さんのように、気に食わなかったら憮然とするとか、あるいは田原さんのように、誰であっても挑発して本音を引き出そうとする、あるいは、みのもんたさんのように、怒ってみせるっていうね。本当に怒っていらっしゃると思うんですけど(笑)「何だ? これは。許さん!」みたいな。あるいは逆に、静かに一緒にうなずいて、心の中で一緒に涙を流す、みたいなね。そうじゃなくて、何でも淡々と伝えるキャスターもいるだろうし。
で、私はどの立場なんだろうって、それぞれ本当にスタイルがあって、これだけ長くやっているのに、私のスタイルって、自分でもまだ確立されていないと思っている所が私も悲しいんですけど、たぶん私は大げさな喜怒哀楽の表現というのは、視聴者はそれほどキャスターには求めていないんじゃないかと。
日本って、テレビのキャスターと視聴者の関係が、とてもウェットな感じがあって、キャスターを通して私も一緒に怒りたいとか、一緒に泣きたいとか、この人も同じ事を言ってくれたら、「そうだ!」って一緒に膝を打ちたいみたいな所があって、すごく関係が近いんだと思うんですよ。
でも、いわゆる欧米のキャスターって、パーンと情報を言いっぱなしで、「後はもう、視聴者の皆さん、あなたが判断してください」って。「情報提供するのは私です。泣くなら、あなた、泣いて。泣く材料はあなたにあげます。怒る材料は私も出しますけれども、怒るのはあなたにして」みたいなね。そういう、とてもドライな関係だと思うんですよね。私はどっちかというと、そっちのタイプかなと思っていて。やっぱりキャスターが一人、画面の中で怒ったり泣いたり笑ったりしていると、視聴者ってちょっと白けるんじゃないかと思うんですね。
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