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ゴールドマン・サックス証券株式会社マネージング・ディレクター/チーフ・ストラテジスト/汎アジア投資調査統括部長
キャシー松井さん
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「働くこと」を、父母から学びました
- 佐々木
そういったお父さんお母さんの姿を見て、何を学んだと思います?
- 松井
うーん。例えばね、土曜日。日本語学校があったんですよ。だから、土曜の朝、日本語学校にね。「ああ、面倒くさい。他の友達はみんなアニメを見ているのに、なぜ私たちだけ」って。
で、必ず言われたのが……私たちの畑に100人以上従業員がいるんですけれど、そのほとんどがメキシコからの移民なんですね。その人たちの子どもたちも働いている家族もいたんですね。それで必ず母が、こういう家族を見てください、と。彼らは何もないから一生懸命働いているので、私たちも、あなたたちも今はぜいたくな生活……って、そんなにぜいたくじゃなかったけれど、食べ物もある、着るものもある、家もある。けれども、この人たちはまだ何もない。
だから、お金の価値というか、それを身につけることが非常に重要だったかな、と思うんですね。"Money does not come from trees, or sky(お金は木や空から降ってこない)"という感覚で、とにかく、働かなくては、もらえない。
友達が、何もしなくても毎週10ドルとかお小遣いをもらっていたんですけど、私の親はそうではなかったんですよ。何もしないと何ももらえない。
- 佐々木
じゃあ、畑を手伝うと5ドル、とかそういう感じですか。
- 松井
それが、時間制じゃなくて、できた量。
- 佐々木
あ、成果主義。1時間手伝うと5ドルではなくて、ここまで花を摘めたら、いいよとか、水をあげたらいいよとかっていうことですか。
- 松井
そうそう。で、重労働なんですよ。バラでしたら、手袋3枚4枚使っても、トゲが入ってしまう。すごく痛いじゃないですか。あるいは菊のとき、温室の中で、日本の夏みたいな湿度の高い環境で(笑)、すごく暑くて。まあもちろん休憩時間はあるんですけれど、せいぜい15分のコーヒーブレイクで。
- 佐々木
ずっと働いていた。それは、何歳くらいのときから? 子どもといっても。
- 松井
私の感じだと、生まれてからずっとだけれど、そう言うと怒られるので……(笑)。いや、もうとにかく小学生から。
- 佐々木
もうじゃあ、小学校3−4年くらいから。
- 松井
そうだね。
- 佐々木
毎週末と夏休みも。
- 松井
例えば忙しいバレンタインデーとか。季節がありますので。ただ、それは、我々としては普通だと思ったんですよ。働かないとお小遣いがもらえない、というのが常識だったと思います。
- 佐々木
普通じゃないということが、小学校、中学校に入ると、だんだん分かってきた。どうして他の家では何もしないのにもらえるの、って(笑)。
- 松井
中学校に入ったころですね(笑)。
- 佐々木
でもそう言いながらも、家業をサポートし続けたっていうことなんですね。
- 松井
まあ、他の、周りの日系の家族もみんなそうしてましたから。私の友達も、何人か日系の友達も、そうしてましたから。まあ、仕方ない、と思いますねえ。
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