ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第94回 キャシー松井さん

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ゴールドマン・サックス証券株式会社マネージング・ディレクター/チーフ・ストラテジスト/汎アジア投資調査統括部長
キャシー松井さん
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海外からの反響はありましたが……
- 佐々木
ウーマノミクスは、リポートを書いた後の反響ってどうですか?
- 松井
正直言って、ほとんどの私の日本でのお客さん、日本人の男性なんですよ。ウーン、って、あんまり反響なかったね。ただ、海外ではすごい反響がありました。
- 佐々木
なんか、英国のエコノミスト誌もウーマノミクスを取り上げたようですね。
- 松井
日本政府も、厚生労働省の方々がお見えになりました。ウーマノミクスについて。
- 佐々木
なぜ日本の投資家筋とかが、あるいはビジネス、経営者層が、このウーマノミクスという言葉に、まだ、こう響かないのでしょう。
- 松井
まず、周りに女性のプロフェッショナルが少ないから。
- 佐々木
少ないから、実感がないということですね。
- 松井
自分の奥様も、ほとんど専業主婦。もちろん例外はいっぱいありますけれど、傾向としてはそうだと思いますね。別に私は批判しているわけではない。彼らの育ち方も、お母さんも働いていなかったし、奥様も働いていないので、これって非現実的じゃないかと思っちゃうんじゃないですか。でも、シンガポールとか香港に行ったら、これはすごく受けるんですよ。
- 佐々木
そうでしょうね。
- 松井
シンガポール、香港、実は北京でも、金融業界で女性の割合がかなり高いんですよ。びっくりするほど。ですから、まあ、日本のいろいろな文化、歴史などの障害はあるかもしれないけれど、人口が増えていないのは事実ですから。
じゃあ、移民が増大するか、既存の人たちをもっと活用するか。もちろん、定年退職の年齢を引き上げるのも、それは一つの措置かもしれませんけれども。でもみんなが80歳まで働けるわけじゃないないじゃないですか。ですからそれが解決策でもないし、これが日本の解決策でも当然ありません。
女性の活用だけでは当然足りません。やっぱり移民政策を、同時に本気で考え直さないといけないと思います。
だって、ロボットは子育てできないじゃないですか。だとすると人間。人間が足りなければ、誰がやる? 女性が働いているんですよね。だから現実問題としては、移民の話、この前日本の有名な政治家と話したんですけれど、どうですかって。そしたら、「いや、あんまり期待しないほうがいい」と言われました。がっかりしました。
- 佐々木
ベビーシッターとか、家政婦さんだって全然いないですしね。
- 松井
看護婦さんとかね。もちろん、以前より少し考えるようになった政府ですけれども、例えば、フィリピン人の看護師介護士、受け入れ1,000人。日本の看護婦人口の約0.1%。で、3年以内に国家試験に通らなければ、日本に残れない。
日本人は、タガログ語の試験を3年で通れます? 通れないと思うんですよ。だから、もちろん日本の看護婦業界からいろいろ反論はあるかもしれないけれど、実際問題は人が足りないので、まずそれをベースにして議論をしてほしいんですね。
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