ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第98回 金野 志保さん

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金野 志保さん
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「法律家に向いている」と父からは言われて
- 佐々木
社会正義というか、社会性を頭に置いて弁護士になられたとおっしゃいましたが、弁護士になりたかった理由はどんなところにあったのですか?
- 金野
もともと弁護士になぜなったかというと……私の父は法学部出身だったため、一度は司法試験を目指したそうです。ただ、当時、家庭の事情等で一度しか司法試験を受験ができなくて、成績も非常にいい線までいったらしいのですが、受験を諦めざるを得なかったそうで、父にも心残りはあったと思うのです。だから、かどうか分かりませんが、私が小さい頃から、父が何を見て言ったのかわからないですが、「物の考え方が非常に法律家に向いている」と父から言われて育ちました。それにちょっと洗脳されたという側面があります(笑)。
- 佐々木
何歳ぐらいから言われた記憶がありますか?
- 金野
小学校の卒業文集に「弁護士になって世のため人のために役に立ちたい」と書いてあったんです。あとは、中学高校は女子の私立校へ行ってましたが、そのときに、女性の生き方として、家庭もちゃんとしたいし仕事もちゃんとやりたい、と思っていました。そのためにはどういう職業に就くのが良いか、と考えたときに、弁護士という仕事は結構良いのではないか、と考えた記憶があります。雇用機会均等法などが成立・施行された今となっては、本当に弁護士という仕事が特別に家庭と両立しやすいのかな? と疑問にも思いますが、当時は両立させやすいだろうと考えていたのです(笑)。
- 佐々木
専門職ですから長く続けられるし、ね。
- 金野
そうですね。資格があって自由業である。つまり、子どもが小さいうちは、たとえば4時に帰って子どもを保育園にお迎えに行かれるのではないか、と、ちょっと今から考えると非常に甘いことを考えていまして……(笑)。まあ、そういうことで、自由業である、資格がある、そして社会正義に資することができる、きっと経済的にも悪くないんじゃないか、と、今にして思えば、夢のようなことを考えていました(苦笑)。
- 佐々木
でも、小学校のときの文集に書くということは、小学生時代、日常的に、お父様からは弁護士に向けての言葉掛けがあったんでしょうね。ものの考え方が論理的だと。
- 金野
そうですね、例えば学校のテストが返ってきますよね。それで父が、私が本当は正答を知らないのではないかと思うのに正解を出している問題を指さして、「この問題の答って知ってたの?」と私に聞くので「知らなかった」と答えるわけです。すると父がまた「知らないのにどうしてこの正解がわかったの?」と聞くんですね。それが、例えば消去法で「この答えは違う、これも違う、じゃあこれしかないと思った」とか、あるいは類似の問題からの類推で正解に至った過程を説明すると、「そういうものの考え方は弁護士に向いていると思う」と。
- 佐々木
そこで親の一言を添えられたっていうことですね。この対談を読んだ方は、「そうか、そうやって弁護士になる子どもを育てるのか」って、すごくいい方法を学んだと思いますよ。
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