ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第98回 金野 志保さん

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金野 志保さん
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弁護士は、女性の仕事として悪くないだろう
- 佐々木
そういった中で、本当に弁護士になろうと思われたのはいつ頃ですか。
- 金野
高校に入ったときに、ある程度進路をみんな考えますよね。だんだん、理系・文系などの選択科目なども分かれて行くじゃないですか。
- 佐々木
私は、まだ高校生のときは何にも考えていませんでした(笑)。
- 金野
通っていた学校が中高一貫校だったので、中学時代はみんなワーって遊んでいるんですけど、高校に入るあたりから文系なのか理系なのかとか、選択科目などを選ばないとならなくて進路を考え始めました。
私は本当はどちらかというと、暗記科目が苦手で、あまり社会科は得意じゃなくて、数学とか国語等が好きだったんです。そしてどちらかというと、単科ではトップにはなれないけれども総合点が良いタイプでした。その点、東大の文一は入試科目に数学もあるし、多科目をまんべんなくできる人が入りやすいところだったのです。
ですから、入試科目的にも自分に合っているし、父から言われていた弁護士という仕事は、先ほどお話したように、女性の仕事としては悪くないだろう、と思ったので、高1ぐらいから将来の職業の候補として本気で弁護士という仕事を考え始めました。
- 佐々木
高校1年ぐらいから。
- 金野
ええ。塾の試験などがあると、志望大学名を書きますよね。その頃から、ずっと東京大学文科一類と書いていました。
- 佐々木
すでに進学のターゲットを絞って、その先にある弁護士という仕事まで、高校1年くらいから見据えていた、ということですね。
- 金野
そうですね…… 大学1年の時に中学、高校の延長で体育会系バレー部に入ったんですけど、そこの部長さんが、バレーに熱中して、文Iから教養学部へ転部した人だったのです。彼女は、私も大好きな先輩だったのですが、「私はバレーと司法試験を天秤にかけてバレーを選んだ」とおっしゃっていて、まずい、このままいくと私もそうなりそう、と思って、バレー部を1年間で辞めたという経緯もあります(笑)。それは、まがりなりにも、その時点で、司法試験を受けようと決めていたからなのです。
- 佐々木
司法試験に向けて勉強を始めたのはいつ頃からですか?
- 金野
それがまた遅いんですね。そこまで考えているのならもっと早くやればいい、と今思えば思うのですけど(笑)……東大って3年生で専門課程にいくまで、あまり法律科目が始まらないのです。ゆっくり始まってくることもあって、それに、結構サークル活動等が好きなこともあって、本当に真剣にやり始めたのは4年の冬でした。
- 佐々木
4年の冬?
- 金野
ええ。普通4年で卒業しなきゃいけないわけですから、早い人は3年とか4年で司法試験に受かるわけですよ。私も3年から予備校に通っていたんですが、ぜんぜん真剣味がないというか、講義を受けっぱなしできちんと予習復習をしないというか。
で、東大は国立大学ということもあり、留年しても親の懐の痛み具合があまりひどくないせいか、同級生たちもみんなやっている司法試験留年をして。でも、留年する言い訳が立たないじゃないですか、勉強しないと。ですから、4年の冬頃から真剣に(笑)。それで、卒業した年に受かったんですね。
- 佐々木
なんだか、ちょっと緻密なイメージの金野さんの新たな一面を発見、という感じです。本当に困らないとやらなかった、ということですよね。弁護士生活とか仕事の内容はどういうことを想像していたのですか? さきほどの「社会正義」をイメージされていたわけですか?
- 金野
今の学生もそうだと思いますし、司法修習生も多少はそうかもしれないと思うのですが、意外と、弁護士が日常の仕事としてどういうことをやっているのかというのは、なってみないと分かりにくいところがあります。本当に弁護士事務所に行って、一定期間の見習い仕事でもやらない限り、毎日どういう仕事をやっているのかよく分からない、という感じだと思うのです。
まあ、当時のイメージとしては、困った人のために法律相談をしてあげたり、法的調査をしたり、訴訟の代理人をしたりするんだろう、というイメージだったでしょうね。
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