ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第98回 金野 志保さん

98 |
金野 志保さん
|
|
|
離婚後300日
- 佐々木
ちょっと違う話題ですが、ニュースでは「離婚後300日」、ということが話題になっています。私はブログにも書いたのですが、そもそも子どもの親を認定するためならば、夫婦共に再婚制限が掛かるならわかるけれど、なぜ女性だけに6カ月という再婚制限があるのかということも疑問に思っているのです。
- 金野
今の科学では、DNA鑑定で、ほぼ100%に近い確率でちゃんと親が判るのにね。この再婚禁止期間については、他の国ではどんどん廃止または改正されてきていますから、この点に関しては、日本は世界で最も遅れている国の1つと言えるかもしれません。
- 佐々木
そうなんです。明確にする必要があるならDNA鑑定もあるし、そもそも親子関係とは何か、という問題も出てくるし。
- 金野
そうですよね。その辺は古い法律はいっぱいありますよ。選択性夫婦別姓法案も通らないこと自体、私にとってはちょっとアンビリーバブルなんですけど。
- 佐々木
そうですよね。金野さんが今お仕事をされている中で、見直していきたいと感じる法律は、何かありますか。
- 金野
そうですね、今の再婚禁止期間に関する民法の規定ももちろん改正したほうがいいと思う法律ですが、選択制夫婦別姓法案が通らないことは本当に信じられないですね。自分の名前を変えたくないからという理由で、事実婚を貫く夫婦って結構いるんですよ。そういう人たちが、もし子どもを嫡出にしたいと思ったらどうするかというと、出生届を出すときだけ、一瞬だけ結婚してすぐ離婚するんですよ。
婚姻届、出生届、離婚届を3枚、まとめて重ねて、役所の窓口へ持っていったり。
- 佐々木
それは知りませんでした。
- 金野
それで、笑い話のような話があるんですけど、私の知人で役所に勤めている人がいるんです。彼女が、同じ役所の戸籍課に行ってその3枚を重ねて「はい」と出したら、窓口の人は彼女の性格を知っているからでしょうか、Noとは言わずに、「お願いですから、離婚届だけは午後に出してくれませんか」と言ったそうです(笑)。そんなテクニカルなことしなくてもすむようにしてほしいですよね(苦笑)。
また、別の夫婦で同じように3枚重ねて持っていったという女性の話をこの前聞いたんですが、やはり役所の窓口で「離婚届だけ、何日か後で出してくれませんか」と言われたという話があって。もう、そういう笑い話のような実態が出てきているのに、まだ法案は通らないのですよね。
- 佐々木
私が聞いている話は、離婚はしたのだけど、お母さんの方はビジネスネームに戻りたい、つまり、旧姓に戻りたいのだけど、子どもは学校のことがあるから今のままでいいや、と。
だから子どもは離婚した夫の戸籍に残して、自分だけの、旧姓での戸籍をつくる。子どもは夫のほうの戸籍に入っているけど、親権は母親である自分が持っていて、住民票も自分のほう。旧姓をキープするためそういうふうに分けてるという。
- 金野
そういう方も多いですよね。
- 佐々木
だから、今の法律では、離婚したときにしか苗字を選べませんが、それを時差つきで、例えば子どもが二十歳になったとき旧姓に戻せるとか、離婚した女性が、旧姓に戻れる時期を延ばすのはどうか、と時々提案しているのですが。
- 金野
そうですね。それもまたひとつのやり方ですね。また、離婚した際に、子どものために自分も旦那の姓のままにしました、というような場合でも、長年通称として旧姓を使うという実績を重ねるなどして、家裁に、氏の変更の申し立てをして、旧姓に戻す方法もあります。
でもそれは結構面倒くさくて、私が経験した案件では、最低でも5〜6年分の通称宛の年賀状や、同窓会名簿などを持っていって、私はこんなにこの苗字を使ってます、ということを証明しないといけなかったんです。
- 佐々木
やっぱりそういうところは、女性の弁護士として敏感にいろいろ話を聞く機会があるのでしょうね。
- 金野
そうですね。私自身は司法の世界にいつづけたいので、国会議員になって立法しようとは思わないのですが、現行法の不便さはいろいろなところで感じますね。
16/22
|
 |
|
|