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金野 志保さん
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経済活動の中に、もっと弁護士が入っていっていい
- 金野
でも結構重要ですよね。私が初めに就職した頃は、企業の経済活動の下支えの仕事が面白くなかったような話をさっきいたしましたけど、今はまったく違う考えなんです。
今まさに経済活動の中にもっと弁護士が入っていって、ルールに則った正しい競争ができるよう、お手伝いしていかないといけない時代になってきていると思うんですよね。さまざまな企業の不祥事もどんどん明らかになってきていますし。ですから、弁護士がもっと企業の中に入っていっていいし、弁護士の立場でできることっていっぱいあるんじゃないかと思います。
- 佐々木
すごくたくさんあると思いますよ。日常の企業法務から、戦略関連から。複数の弁護士がいたらいい、と思うこともあります。
- 金野
そう、実際、企業が大きくなってきたら、上場前後あたりから、複数の法律事務所に顧問を依頼する会社も多いですよ。顧問という形をとらなくとも、アドバイザリーボードに弁護士を入れたり、監査役として弁護士を入れたり。
私、コンサルタントの友人がたくさんいるんですけど、コンサルタントというのは結局、企業が利益を上げるためにどうしたらいいかというアドバイザーですよね。コンサルタントの友人達と話していると、利益を上げるということは尊いこと、重要なことだなあとだなあ、って、痛感したことがあったんです。結局、そういった、どんどん利益を上げていこうとする企業活動が日本経済を支えていくわけですよね。
すると、そういった企業の経済活動のサポートを、リーガルな面から弁護士が行ってもいいんじゃないか、と思ったんです。もともと、アメリカ等と比べると相対的にそういった点が手薄ではないかという問題意識もありましたし……。その辺から、企業法務にやりがいを感じるようになってきたんです。私の中での価値観の転換があったんですね。
そういった友人たちとの交流の中で、弁護士の仕事の中でも、コンサルティングに近い仕事が結構好きになってきたんです。さきほど、今後どういう仕事をやっていきたいかっておっしゃったことに、もうひとつ付け加えたかったのは、コンサルティングにかなり近い仕事です。
企業からのご相談の中で、「この商売は、法律的に大丈夫ですか」「こういったビジネスをしたいのですが、違法ですか合法ですか」って聞かれて、「ノーです」「違法とされる可能性が高いからやめたほうがいいです」と言うのは簡単なのですよね。
でも、「そのままでは違法です」と回答した後に、「ではどうやったらこの商売を合法に行うことができますか?」と問われて、会社の方と知恵を絞ったり、さらに一歩踏み込んで「こういうスキームでやったらリーガルリスクがない上にもっと収益が上がるんじゃないでしょうか?」と逆提案をするようなことが、少なくとも私の仕事の中では、多くなってきているように思います。
こういった、こちらからのアイディア出し、一種クリエイティブな提案をすることはとても面白いんです。もちろんそれには柔軟な発想とか経営感覚とか、そういうのがないとだめなんでしょうけど。
これから弁護士もそういう、単に法律的な合法・違法を判断するだけじゃなくて、コンサルティング的な仕事もどんどん増えてくるんじゃないかなと思います。
- 佐々木
結局、コンサルティングができるということは経営が分かるということだと思うのですが、経営の分かる弁護士が少ないというのも問題だ、と、よく話題になります。
- 金野
そういった意味でも、ヤフーの監査役の経験というのは、私にとって、非常に貴重でエキサイティングな経験ではないかと思うんです。
- 佐々木
そうですよ。私、金野さんのかばん持ちでいいから一度連れて行ってもらいたい。
- 金野
通訳として行くほうが早いかも?
- 佐々木
間違いだらけで怒られちゃう(笑)。
- 金野
取締役会で、通訳ミスは結構指摘されていますね。「そこ、通訳違ってる!」とか通訳の方が取締役に怒られたり。ボードメンバーは、通訳の間違いまで分かるような方ばかりなので。私はダメですけど(苦笑)。
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