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金野 志保さん
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契約書を作るとき、緊張します
- 佐々木
なんだか95年ごろにお会いしたときは、本当にバリバリという感じだったんだけども。今のイメージはちょっと違って、こういう表現がいいかどうか分かりませんが、少し、リラックスしていて丸みを帯びたというか、柔らかいというか。
- 金野
いろいろと苦労がありまして……。仕事でも、プライベートでも(笑)。まあ、心に鎧を着なくなったことは確かなんだろうと思います。そしてたぶん、それでいい、と思えるようになったんでしょうね。だんだん年を重ねると、人間、素直になりませんか。
- 佐々木
まあ、大目に見ようと、みんな受け入れてあげる、という気持ちになれるんですよね。仕事上での大勝負も、いい経験に。
- 金野
大勝負ですか……。例えばもうすぐ結構大きな訴訟での証人尋問があるんですけど、そして尋問する相手は結構社会的地位のある方だったりするのですが、でも証人尋問なんて、私がいつも行っている裁判所で、日常的にやっていることですし、あまり緊張したりはしないのです。
尋問される方は、そのような機会は一生のうち一度あるかないか、という経験なので、とても緊張なさることが多いようですけど。
かえって、契約書を作ったりとか、経営判断に近いところのリーガルアドバイスを求められるなどの仕事のほうが、緊張しますね。私がどう言うか、どう書くのか、がすごく大きなインパクトを企業に与えるという側面があるので、非常に責任が重いからです。
例えば、この契約書を私が作り損ねたら10年後に紛争になったりする、このアドバイスが経営判断に影響を与えて、その企業のレピュテーションを左右する、などと思うわけです。それを漏れのないようにしようと思うと、単なる契約書作成でも、すごく緊張したりすることもあるわけです。
ですから、仕事で緊張するという場面は、仕事の舞台がどこであるかはあまり関係がなくて、結構、デスクに向かっているときだったりもするんですよ。
- 佐々木
今でも本当に想定しなくてはいけない幅がどんどん広くなっているから、勉強も相当していかなくては。
- 金野
そうですね、それに勉強だけでなくて、例えば私の顧問先に多いネットベンチャーさんは、いままで社会になかった、新しいサービスを提供することも多いわけですよね。つまり、まったく新しいサービスであるため、その仕事にまつわる契約書のひな形があるとは限らないわけです。で、作ってあげるわけです。
- 佐々木
契約書を一から作るのですか?
- 金野
これまで社会にまったく存在しなかったような新しいサービスを提供していこうとするとき、そういう場合でも、何かベースとなる契約書のひな形がまったくないわけではないのですが、でもそこに付け加える条項がまったくのオリジナルだったり、そもそもどの当事者まで巻き込んで契約をするのか知恵を絞らないとならなかったり、ビジネスリスクの想定が難しかったり。
「このサービスはビジネスモデル特許取れませんか?」と言われて弁理士さんを紹介するような新しいサービスを提供しようとしている企業のための契約書は、既存のものだけではできず、かなり作りこんでいかないとならないことも、往々にしてあるのです。
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