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「津軽出身でないのに」と言われたことについて、今はかえって感謝してます。そういう経験があったからこそ、「俺は民謡じゃなく、違うところで勝負しよう」と思えたし、なにくそって奮い立てた。それがなくてただ「お前はすばらしいね」とか言われていたら、伝統という枠の中で暮らしていたかもしれません。だから今は、出身も茨城でよかったな、と思います。
僕が演奏で時々目を閉じるのは、耳に集中するためというのもあるし、三味線はもともと目の見えない方が弾かれた楽器なので、自分もその原点に立ち戻って演奏しようという気持ちがあります。
目を閉じて古典を演奏していると、しばしば津軽の風景が思い浮かびます。3年ほど前に津軽の四季を全部味わったことがあって、もちろん日本海の大吹雪も体験しました。関東に住んでいると雪は上から降るもんだと思ってますよね。それが向こうでは、下からも舞い上がってくる。そうなると視界が遮られて先も見えない。凍てつく寒さの中……。
そういう厳しい状況で演奏しなければならないことも、昔の芸人さんにはあったと思うんですね。それを自分が少しでも経験できたことは、身体の感覚として蓄積されているはず。そして、知らず知らず演奏に表現されたりするのかもしれません。
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ハーモニーインタビュー:上妻宏光
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