イー・ウーマン古荘純一さん学習障害（ＬＤ）と勉強嫌い、違いが分かりますか？

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会議番号:2370

学習障害（ＬＤ）と勉強嫌い、違いが分かりますか？

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【開催期間】
2008年02月11日より
2008年02月15日まで

円卓会議とは

このテーマの議長

古荘純一　青山学院大学教授、小児精神科医

予想していたよりもNOが多いように思いました。言葉の上だけの違いではなく、学習障害（LD）をしっかり理解……

議長コメントを全文読む

1日目までに届いている投稿から...

時間軸が違うだけなのです (ラ・フランス)

私は、幼児から低学年までの子供達に読み書き算数を教えています。苦手・嫌いな子は、しょうがないと自分で諦めがちです。しかし、できた喜びを味わわせる言葉の掛け方、小さな階段を１つ１つクリアさせた時の成功体験により、意識が変わります。学習障害（私は医者でなく教育者なので、あえて断定せず経験から言います）と感じる子供は、出来る様になりたい希望を捨てず真面目に何度も書き、数え、でも思うようにいかず苦しみ涙します。学年にとらわれない学習ならば成功体験ができます。

実際に支援した経験から (fly2you・神奈川・パートナー無・34歳)

補習を目的とした家庭教師をしたときに「この子はLDなんじゃないか？」と思い当たって、ご両親にお話しした結果、学校でも配慮をしてもらうことができるようになり、みるみると「勉強ができる子、好きな子」になっていったという経験があります。そして、ただの勉強嫌いは放っておいても、何か目標ができたり、どうしても必要だとなれば俄然張り切りだすものだということは、私自身が証明しています。

安易には使いたくないＬＤ (かぶちゃん・愛知・パートナー有・27歳)

ＹＥＳとしましたが、よくわかりません。塾講師をしているのでいろんな子どもと接しますが、例えば数学の計算は速くスムーズにできるのに文章題だけはさっぱり、という子もいるし、努力しているのに英単語だけが全く覚えられない子もいます。彼らは日常生活では支障もないし、勉強嫌いでもないと思うのでＬＤなんでしょうか？ただ、ＬＤとレッテルを貼ってしまうと『自分はＬＤだからできない』と思ってしまい、できるけどやらなくなる可能性もあると思うので、私はあまり使いたくない言葉です。

安易な決めつけに注意したい (Albireo・東京パートナー有・)

私自身には子どもがおりませんが、甥っ子（4歳）などを見ていて思うのは、子どもは多かれ少なかれ、飽きっぽいし、わがままだということです。レストランなど行儀よくしてほしい場面で親は、なんとかして子どもが退屈しないように必死です。もしかして、「多動」「注意欠陥」などと名称を与えることで、クラスがまとまらない状態を安易に納得させる面もあるのではないか、と思ってしまいます。

学習障害は脳の障害 (junko1942・京都・46歳)

タイトルのように私は理解しています。先天性の脳障害として位置づけられるものではないですか？脳性まひなどは身体に障害があるため、他の人からもわかりやすいですが、自閉症も含めて、認知機能の障害は他の人に理解されにくいもので、そのために本人も保護者も苦労が多いように思います。こういった障害を持った人たちが生きやすい世の中、作れないのでしょうか？

私の娘も学習障害？ (mitsuba・福岡・パートナー有・48歳)

現在中１の娘は、小さい頃からの夜更かし→遅刻の傾向を直せないまま、勉強がわからないまま、いつのまにか勉強が面倒くさいと開き直っています。私は勉強に向かう習慣が身についていないことをとても申し訳なく思い、なんとかこれからでも改善できる方法はあるはずだと思いますが、主人は病気なのでは？といいます。娘はどちらなのか？またどうやったら楽しい学校生活と本人の成長につながるのでしょうか？

境界があいまい？ (tsumibon・東京・パートナー有・32歳)

どの程度であればLDなのかがあいまいな印象があり、特定の勉強が苦手であることとの違いがわかりません。ただ、小学校の同級生でスポーツ万能でよく話す明るい子なのに、国語の教科書音読でどれだけ練習しても一文字ずつしか読めず、他の教科書も読みこなぜす、教室で萎縮していた男の子のことがLDの話を聞くと思い浮かびます。きっと、彼こそLDだったんだなあと。

	わが子の成績は最悪 (いんこいんこ・大阪・パートナー有・45歳)
あまりにも成績不良な我が娘と息子。でも２人とも、発達状態に関して疑問を持ったことはなかったため、学習障害ではなく、単なる重症の勉強嫌いだと思います。けれど、学習障害の診断は、専門家でもかなり判定は難しそうですね。

2日目の円卓会議の議論は...

「ＬＤは脳の“把握機能”の部分的障害である」

予想していたよりもNOが多いように思いました。言葉の上だけの違いではなく、学習障害（LD）をしっかり理解したいという皆さんの真摯なご意見と受け止めました。

junko1942さんのご意見のとおり、学習障害は脳機能の障害と考えられています。
LDの子どもは、基本的には学習意欲を持っているのですが、読む、書く、計算するなどの領域の習得が困難です。これらは、①聴覚の認知障害（聞いて理解することについての障害）、②視覚の認知困難（見て理解することについての障害）、③空間認知の障害、それぞれと深く関連しています。

聴覚の認知障害は、聴覚の機能は正常なのですが、音や人の声がみんな同じ大きさで聞こえてしまい、必要な音や声を聞いて理解することがうまくできにくい状態になります。そのため、聞いた内容が理解できない、聞き違いをしてしまう、学校では、指示されたことをすぐに忘れてしまう、複数のことを言われるとそれが理解できない、などの障害が現れ、周囲から見ると、忘れっぽい、集団生活がこなせない、何を言っても上の空のようだ、などと評価されることがあります。

視覚の認知困難は、視覚は正常であるにも関わらず視覚認知（見て理解すること）がうまくいかず、目に入る情報の中で今何が必要かを判断できなくなる、位置関係の把握が困難になる、などということが起こってきます。そのため、学校では、教科書の文字が追えない、文字や行を読み飛ばす、よく似た文字を読み間違う、漢字の模写がうまくできない、などの障害があります。

空間認知の障害は、ものの位置関係（上下、左右、前後、東西南北、遠近、縦横など）に関する把握障害です。具体的には、鏡文字を書く、筆算の桁がずれる、図形の学習が苦手、道に迷いやすい、地図の見方がわからない、などの問題があります。

簡単に言えば、LDとは「同じものを見聞きしてもそれを理解しにくい、イメージができにくい結果、学習に困難をきたす」ということになります。

さて、本日のご意見にもありましたが、境界が難しくどのように把握するのか、またLDを正しく理解し、あきらめるのではなく、どのようなサポートをしたらよいか、などについてご意見をいただきたいと思います。

古荘純一
青山学院大学教授、小児精神科医


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