
余計な不安をなくしておく(kiitos・東京・28歳)
大学時代、中近東を旅行し現地でドライバーや給仕係を雇って砂漠をひたすらテント生活をしながら旅をしました。当時、その方面のガイドブックがまったくなかったため、ほとんど無知のまま「なんとかなる! 」という勢いだけで行きました。実際に行ってみると、いい経験ができましたが、あの時もし情報があれば、さらに有意義な旅になったのではないかと思います。
現在、長期留学を検討しておりますが、有給休暇を利用しての旅行とは異なり、退職覚悟の転機となるかもしれない大イベントなので、後悔のないよう、現地での生活に直接関わる情報から、実際どんな点に戸惑い、孤独を感じた時、それをどのように克服したのかなどハード面、ソフト面共に、あらゆる情報を一つでも多く仕入れたいと思っています。留学経験のある方にわたし自身の考えを聞いていただいたり、相談に乗っていただいたりすることで、余計な不安もなくなり、現地にも早く解け込めるのではないかと思っています。先日、留学図書館にもお邪魔して平川さんからアドバイスをいただきましたが、こちらの悩んでいることを察して、経験談をたくさんお話しいただき、留学後の自分をなんとなくですがイメージできました。未知の世界への決断やその時間を無駄にしないためにも、「引き出し」を多く持っておくことは、とても大切なのではないでしょうか?
ある程度自信を持っていたが……(samin)
米国留学前、「英語科出身だし、TOEFLでもそこそこ取ったし」とある程度自信をもって出かけて行ったら、ミネアポリスの空港に着いた途端、一発食らいました。「何語をしゃべっているのかわからない……」。学校生活が始まり、外国人向けの英語クラスに入っても、英文法の誤りを意に介することのない中南米出身の人たちに圧倒され、一言も口を開けない時期が1カ月ぐらいは続いたでしょうか。人生のどん底はゼロではなく、その下にマイナスがあるという現実に打ちのめされた日々でした。英語の勉強はして行くに越したことはありません。しかし、実際に生活を始めた時、文法だなんだと言っていられる余裕はなかった、というのも実感。その意味では、打ちのめされた日々を理解してくれ、共感してくれ、支えてくれる日本の友だちの存在は大きかったのです。
「準備」というカテゴリーには入らないかもしれませんが、週に2回も3回も届く手紙が、どれほどわたしを救ってくれたことか。今でもあの時の感謝の気持ちを忘れていません。
日本文化の知識と病気対策(mamarin)
フランスに留学経験があります。役に立った準備は、ずばり日本文化の知識です。大学生の時、アルバイトで観光ガイドをやっていたので日本史やお茶、華道、歌舞伎などについての基本的な知識を得ました。また、着物の着付けを母に習い、洗えるタイプの着物を一式と浴衣を一式持って行きました。これはフランス人の方が日本文化に詳しい人が多く、着物を着せてあげたりするプリゼンをしたところ、あちこちから声がかかったからです。日本の古い映画、とくに小津安二郎、溝口健二、成瀬巳喜男、黒澤明、諸監督の作品を観ておくこともお勧めします。フランス人は日本人以上にこれらの作品に詳しく、実際にパリではよく上映されているのです。小津作品などよく知らなかった自分が恥ずかしいと思いました。
あとは、簡単な応急処置の方法です。いくら、保険が利くからといっても、少しのけがや病気で指定病院まで行くのは大変です。わたしも日本の保険会社に加入していき、1度だけ結膜炎にかかったときに、指定のアメリカンホスピタルまで予約を入れ電車を乗り継ぎ行き、診察時間わずか5分に請求額は1万円を、後から帰ってくるとはいえ、立て替えなければならなかったので学生としては大変だったことを覚えています。自分で治せたのにと思いました。現地の情報などは現地発行のフリーペーパーなどで調べるといいと思います。
準備をすればするほど感動も大(ルネ)
自分の観点で興味があったり、必要だと思ったりすることは、自分で調べて情報を入手し、できれば経験者の意見を聞き、可能な限り語学を勉強する時間を取ることです。わたし自身は、長期の留学経験はなく、インターンシップ制度などを利用して海外に滞在したことがあります。近年は、留学も遊学もさほど大差がない世の中になっていますが、たとえ短い期間の遊学であったとしても、長期であったとしても、その期間を有意義なものにするためには、準備をし過ぎるということはないと思います。意外と心配しているほど問題はなく、行ってしまえば何とかなるものですが、努力して準備に時間をかけたほうが、現地での思い入れは違うと思います。
わたしは、遊学にも興味があり、1カ月程度の滞在でも準備期間がほとんどないとはいえ短期集中で真剣に調べて勉強してから海外に出ました。ヨーロッパでは、歴史を知らないでいるより、知っているほうが感動できます。また、語学もまったく知らない言葉より、少しでも勉強していれば、現地で困ったことがあったとしても現地の人が助けてくれることもあります。留学では、語学や大学での勉強以外にも、慣習・文化、人との触れ合い、自分の人生観を変えるような材料が山のようにあります。どれだけのものを手にするかはその人の行動次第だと思いますし、観光では感じ得ることができない感動をもっと手にするためにも、準備は必須だと思います。わたしはおかげで、かけがえのない思い出と経験と友だちを得ることができました。これから行かれる方は、ぜひ、心得ておかれるといいと思います。
暗記するほど英会話のテープを聴く(みぽりん)
高校留学の時は、スクリプトと一緒に暗記するくらい英会話のテープを聴きました。結局何を言っているかわからずじまいのラジオの流し聴きよりも、こちらのほうが英会話力向上になることを肌で実感しました。また、日本文化に関する質問に備えて、そのたぐいの本を持参しました。大学時代には、単位を取りに行ったので、その専門分野の英語文献を読んでいたことが役に立ちました。
留学先での対応の情報収集(ヒロニ)
わたしが留学先を決めたのは、留学生に対する対応がしっかりしているところ。いざという時に、頼れるシステムがあると、本当に心強いものです。とくにわたしの場合、手続きなどもすべて自分でやり、留学先に友人や親類もいない状態だったので、一からすべて一人でやりました。これが自信につながってきたのは、1年経ってからでしたけど。わたしの大学の場合は、留学生専門のアドバイザーの方や、生徒同士の交流が盛んだったので、クラスの内容やビザ、生活の情報など得やすかったですね。
「礼儀を尽くす」という小さな文化も大事(veronique・フランス・独身・29歳)
留学前の準備というのとは、ちょっと違うかもしれませんが、わたしの場合は和食をひと通り作れるようになっておいたことが非常に役立ちました。招いたり招かれたりの機会や持ち寄りパーティーの機会が思っていたよりも増えました。そんなとき、限られた材料で和食が作れると、とても重宝します。またこれは留学してから気が付いたことですが、50代、60代の日本女性の深々としたお辞儀の美しさ。礼儀を尽くすということの大切さをあらためて感じました。日本を離れると何かと自分の足元が揺らぎがちですが、自分の根を確かめるというためにも、こういう小さな文化を常に大切にしたいと思っています。
下見をしておくと安心(harapeco・東京・独身・32歳)
語学学校に留学しました。本格的に留学を決定する前、意中の学校に一週間下見留学をしたのです。資料やカウンセラーの意見なども参考になりますが、実際に自分が感じるものとは相当違う場合があります。LLやリスニングセンターがあると書いてあっても、教材の数や機械の質、使用できる頻度などについては、じかに確認しなければわかりません。また、学校には雰囲気があって、自分がなじめるかどうかは大切です。どんな学生がいるのか、1度現場を見てみると安心できます。当然教師の質や人柄を見るチャンスでもあります。また、すでにその学校にいる日本人からの情報も貴重です。金銭と時間が許すなら、下見をお勧めします。
スラング辞書を持参して(Jody)
すでに、留学経験のあった友だちから、行く前に「スラング(=俗語)辞書を持って行ったほうがいいよ」と言われ、実際に持って行くと重宝しました。
ホームステイ先に手紙で自己紹介(ORYU・関西・既婚・33歳)
留学ではないのですが、8年前に10カ月、アメリカでスクールインターンをしていました。その前に、英会話学校に行ったり、また、着物を着たり、日本料理や折り紙を作ったり、日本文化の表現を学びました。何よりも役に立ったのは、ホームステイ先と連絡を取り合って、事前に家庭環境を聞いたり、わたしの自己紹介を手紙でしたことです。ホームステイ先の人は、たぶんそこで、わたしの貧しい英語力を知って、渡米直後からいろいろ親切にしてもらい、新しい土地でのスタートがとてもうまくいきました。