
中断するかしないかの分岐点(ゆかりっくす・神奈川・パートナー有・30歳)
「定時間内で仕事を終わらせる」のが当たり前でない現状では、中断はやむを得ないと思っています。私自身、いまは子育てのためにお休みをいただいていますが、復職後は、周りに理解していただいて、働き方を変える予定です。
とはいえ、どんなに環境が整っていなくても、周囲を巻き込んで出産前と同じ働きをする人も存在することは確かで、実際は、「仕事以外のすべてを犠牲にしてもそれまで通りの仕事をしたいのか、それとも仕事より優先したいことがあるのか」というのが、中断するかしないかの分岐点だろうと思います。
長時間労働が美徳とされる日本ではやむを得ず(あわび・兵庫・パートナー有・31歳)
長時間、馬車馬のように働くことが美徳とされている日本の会社組織は、子どもがいなくても、女性にとっては厳しいものです。私はもうすぐ産休に入りますが、私がいない間、ほかの人が私の仕事もしなければいけないわけですから、やはり周りからすれば迷惑な話です。妊婦の間も、よく休みを取るので職場には迷惑をかけました。ワークシェアのような制度がもっと普及していれば、妊婦、子育てママのペースでもキャリアを継続できると思います。現状では、子育ての間はキャリアの一線から退かざるを得ないでしょう。キャリアも子育ても両立できるようなシステムがあればよいのですが……。
「子どもがいるのに立派」だなんて……(matomaco・東京・パートナー有・38歳)
外資系の会社ですが、周囲には、権利の主張ばかりで実務の伴わないワーキングマザーがまだまだ多数派です。残業を辞して早々と帰宅していく彼女らと、必要があれば深夜残業も当然こなさなければならない子なしの社員との間には、明らかに亀裂が生じています。私にも3歳の子どもがいますが、前述のような傾向がこれまで際立っていたためか、はたまた自分の能力不足のせいか、たぶん両方でしょうが、育児休暇明けに「子どものいる人にはチーム管理は無理ですから」と部長に宣告され、元部下の男性とマネージャー職入れ替わりをし、現在にいたっています。辛い状況ですが、くさらず頑張っていたつもりが、後日、「子どもがいるのに、ハンデを感じさせず立派だね」と部長にコメントされ、男性だったら言われないであろうほめ言葉にまったく素直に喜べませんでした。
自分の現状は、キャリア中断に近い状況だと思いますが、周囲の援助(ベビーシッターなども含めて)が得られるうちは、あがいてみようかと、現在転職活動中です。
納得の上でのキャリアチェンジ(moomingmama・神奈川・パートナー有・37歳)
私の場合、10年半続けた会社勤めを辞めました。激務で内臓から出血したこともありましたが、子どもを授かるまでは退職することを考えたこともありませんでした。でも、妊娠が判明したとき、不思議なくらい仕事に執着することなく退職を決意しましたが、引き止められ、出産近くまで在籍していました。
結婚し、共働きを選んだときに保育園を見ましたが、まだ見ぬわが子を預けることに納得できませんでした。古い、と言われるかもしれませんが、仕事も大切でしたが子ども以上に大切なものはなく、管理職への昇進が翌年に確定していた私にとって、比較の対象とは感じられませんでした。
当時、夫より収入があり、生活レベルを維持するためには貯蓄を切りくずすことになりましたが、退職後すぐに大学の社会人コース(短期履修)に入り、出産し育児に追われ、余計なことを考える余裕がなくなりました。
子どもが8カ月のときに、英会話講師として復帰しました。子どもを預けず、クーファンで寝ているわが子と一緒にいられる方法を選びました。そのため時間に制限こそありましたが、その子は小学校に入り、2人目が1歳になりました。
欲張りな私は、すべて自分でやらないと気が済まないようです。結果的にキャリアを捨てることになりましたが、納得する理由があり、いまも別の大学に編入し、毎日育児、家事、レポートに追われ、週末、休日は大学に通っています。最近は夫も協力してくれます。
子どもと徹底的に向き合う時期は絶対に必要(あきんぼ・東京・37歳)
中断というより、スローダウンはやむを得ないと思います。でも、女性に限定したことではなく、男性もスローダウンするのが正しいです。少数ですが、育児休職を取る男性も身近にいます。彼らは、後悔ではなく、楽しかった記憶として育児休職を語ります。私は1年間休職し、復職後4年ほどは仕事の時間を短縮して、子ども中心の生活をしました。そのお陰で、息子との確固たる信頼関係を確保し、息子が小学校高学年になったいま、付き合いで多少遅くなる日があっても、トラブルなくやっていけていると思います。子どもって、どこかの年齢で徹底的に向き合う必要が出てくると思うので、幼児期に限定する必要はありませんが、スローダウンして、キャリア設計を長い目で見る必要があると思います。

柔軟に、「中断」ではなく「展開」に(ありる)
もともと、そんなにキャリア志向ではなかった私ですが、3人目の出産後も会社に戻ることが既に決まっています。
私の場合は、1人目の産後にキャリアの大転換(左遷、仕事干され、職域変更)があり、2人目の産後に分岐点(職務提案)があり、3人目の妊娠中にさらに職務認定(部署新設)があり……という感じで、自分では「中断=いつか本来の職務に戻る」のつもりであったものが、いつの間にやら「展開=ポイント切換えを経て違うレールを走ってる」になっていました。
これから先は、自分でレールを敷いていかねばなりませんが、実は、元の職務よりも可能性は広がっていることに最近気づきました。
恐らく、1人目の産後、元の職務にこだわり続けていたら、こういうキャリア展開はあり得なかったでしょう。それを思うと、「しなやかなものは折れない」という言葉がしっくりきます。
思い描いたキャリア通りに行かないとき、いかに柔軟に先を見据えられるか。ブレるのではなく、「大体この見据えた範囲内に収まっていればよし」と懐を広くすることで、中断することなくキャリアを展開していくことは可能なのではないでしょうか。
子育ての経験から新たなビジネスに開眼する例もあることを思えば、「もともと描いていたキャリア」に固執するからこそ「中断」という認識が生まれるような気がします。
仕事の内容によるのでは?(あっぷるみんと・香川・パートナー有・40歳)
仕事の内容によると思いますね。子育て中だからこその考え方ができる場合もあるので、その場その場に合わせた、自分にできることで、貢献するのがよいのでは……。ただ、少人数で仕事をしている場合や、とても専門的な仕事である場合は、中断はやむを得ない選択になるかもしれないですね。