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社会を支える税制。どうやって会費を集めるか
今回のテーマは、「消費税」についてです。「消費税率の引き上げ」、これはかなり「ドキッ」とする問いかけだと思います。みなさんの多くは「NO」でしょうか?
そもそも消費税は次のような理由から導入されたものです。所得課税は、その性格上どうしても所得補足の限界があり、いわゆる「クロヨン」(編集部註:給与所得者、個人事業者、農林業者各間の所得捕捉率に大きな差があるとされる問題。給与所得者は9割、個人事業者6割、農林業者4割という数字からこう呼ばれる。)という問題を生じさせます。ある領収書が経費になるかどうかの事実認定は、本当のところは本人しかわかりません。ところが消費税は、事実行為である消費に着目するもので、誰が消費しても捕捉されますので、ごまかしがききません。それに、ある事業者の仕入れが次の事業者の売上になるといった、商取引のチェーンの中で課税されます(実際に消費税を計算し納税するのは、事業者です)ので、事業者相互に牽制効果が働きます。このように、公平性が高いのが消費税の特徴です。また、所得を得ている現役世代の勤労者だけでなく、広く国民全体が消費に応じて負担するので、負担が偏らず、「世代間の負担の公平」につながるものであるといえます。更に言えば、人は、「働いて所得を得て、それを一生かけて消費して死んで行く」と考えれば、全体の税負担が同じである限り、所得税でも消費税でもそれほど大きな違いはないようにも考えられます。
そうすると、所得税か、消費税か、本当に問題にすべき点は、次のようなことです。
消費税は消費に課税します。消費というのは、所得から貯蓄を引いたものです。したがって、消費税は、貯蓄には課税しない税である、といえます。逆に言えば、所得税は、所得を得た段階で一度課税され、消費しなかった貯蓄が利子・配当・株式譲渡益を得た段階で、再び課税されます。つまり、消費税の本当のメリットは、所得に2度課税されることを防ぐ税だということです。このことが、経済の効率性に大きな好影響を及ぼします。世界の税制学者のほとんどが消費税論者であるのは、ここから来ています。
これに対し、消費税には問題点もあります。最大の点は、所得の少ない人に、より多くの割合で消費税がかかるという点です。これは、所得の多い人も、所得の少ない人も、消費額がそれほど変わらないことから来る問題で、「消費税の逆進性」と呼びます。二桁の消費税率が導入されている欧州では、食料品等の消費税率が低くなっていますが、それはこの逆進性への対策から来たものです。
また、経済との関係もあります。1997年4月に消費税率が5%に引き上げられ、直後に金融不安が起こり今日まで経済不況が続いていますが、経済不況の原因として消費税の引き上げがどこまで原因となったかについては慎重な分析・評価が必要です。
また、事業者が、消費者の払った消費税を自らのポケットにいれるという、益税の問題もあります。この原因となる、免税点の範囲は、今回大幅に縮小されました。
現在議論になっているのは、年金の財源をどこに求めるかという問題で、消費税はその有力な候補となっています。他方で小泉総理は、当面消費税率を引き上げないことを公約にされています。
このように、消費税を取り巻く環境は大層複雑です。だからこそ、消費税の問題を考えることは大きな意味があるわけです。その際、引き上げるのが良いかどうかという問題の捉え方ではなく、年金等将来必要となる財源は、保険料の引き上げによるのか、あるいは消費税なのか、所得税か、それとも行政改革によるのか(恒久的な財源とするためには、毎年行政改革をやりつづけ財源を出さなければなりません)、といった議論の立て方が必要です。
わたしたちの社会を支える税制。高齢化社会の下、どうやって会費を集めるべきでしょうか。集めた会費の使途が、年金と言うことで明確ならば、あなたは消費税率引き上げに賛成ですか? 反対ですか? 消費税のみならず、税制に対するあなたのご意見お聞かせください。
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