
CMにおいて音楽というのは本当に重要な要素です。
撮影してつないだ映像に、当てる音一つで全然イメージが違ってきますからね。そのCMが明るく元気になるのもしっとり暗くなるのも音楽次第。同じ映像でも両極端な効果が出るぐらい、音楽の役割は重要だということです。
だから、本当にそのCMを一番活かすような音楽づくりをずっと心掛けています。その曲を聴いて「なんかいいイメージだな、そうか資生堂の○○か、ちょっと使ってみたいな」というふうに思ってもらえるように。
今の時代は、何かほかのことをしながらTVを見ていたり、背中で聴いているというようなシチュエーションが結構多いですよね。そんなとき、「えっ、何?」と振り向かせるチカラが音楽にはある。そういう強いアテンションのある魅力的な音楽だと、何かほかのことをしていてもCMを見てもらえるんじゃないでしょうか。
『音椿』には、1975年春の「オレンジ村から春へ/りりィ」から2003年の「流し目プレイ☆/小林桂」まで、30年近い時代の変遷が収録されています。
30代、40代の人にとっては、どれも懐かしい曲ばかり。聴いていると映像までよみがえってきたり、いろんな思い出が呼び覚まされたりするでしょう。
若い人にとっては新しい年代の曲が楽しいだけでなく、古い曲もかえって新鮮に感じると思うんですね。たとえば、1977年春の「マイピュアレディ/尾崎亜美」などは、今聴いても古さを感じないし、フレッシュな感覚がある。懐かしいだけじゃなくて、きっと新たな発見があると思います。
『音椿』が世に出ることによって、良き時代を思い出して元気になったり、新しい発見をしてうれしくなったり……。世の中が少しでも活気づいてくれればいいなと思っています。
このリポートを読まれて、感じたこと、考えたことをぜひ教えてください。あなたのご意見をお待ちしています。
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