イー・ウーマン渡辺実さん防災グッズ、準備できていますか？

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会議番号:2388

防災グッズ、準備できていますか？

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【開催期間】
2008年03月03日より
2008年03月07日まで

円卓会議とは

このテーマの議長

渡辺実　防災・危機管理ジャーナリスト

「ざおざお」（中国）さん、鳥インフルエンザは、ほんとに心配ですね。日本でも新型ウィルスの危機管理がや……

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4日目までに届いている投稿から...

	用意していたのですが…… (ほわほわ・神奈川・パートナー有・40歳)
非常食を食べるときの食器など、考えて防災グッズの準備をしていたのですが、昨日、「そろそろ、缶詰などを買い替えたほうがいいかも」と思い、取り出したら、賞味期限を2年も過ぎた缶詰が出てきました。きっと水も賞味期限切れです。毎年1回、中身を点検、入れ替えしようと思いました。

地震だけ？ (ざおざお・中国・パートナー有・35歳)

鳥インフルエンザが身近なので、今いる地区が封鎖された時用の食料備蓄や携帯用ガスコンロなどを備蓄しています。ほかには寝袋や携帯電話用の充電池。キャンプ用品を一式です。消耗品の点検を兼ねて毎年一回はキャンプに行っています。一週間と言う期間を考えると一番確保しづらいのが水だと思います。中国では水道水が基本的に飲めないので、常に1週間分の飲料水の在庫があるように管理しています。

	お風呂の水を抜く機能 (Tree・大阪・パートナー有・39歳)
防災時のトイレ対策にお風呂の水を常に張っておくといいと考えています。しかし、次の日に捨ててまた入れ直すのは結構面倒。ある時間帯にお水を抜いてくれる（入れてくれるのはありますね）機能があればいいと思います。

お風呂の水？ (もろりん・大阪・パートナー有・36歳)

以前宮城に住んでいて、飲料水としてペットボトルを2本程備蓄していましたが、いつまで保管できるのか不安になり、頑張って飲んだり炊飯に使っては買い替えてました。飲まなきゃ！　買わなきゃ！　と結構気持ちの負担になって気にはなりつつ今ではやめてしまってます。飲料水以外ならお風呂の水はすぐには抜かないようにしてます。これなら普段から洗濯や掃除に使えるので、続いています。大阪のマンションで被災した親によると半分位はこぼれてしまってたそうですが……。

	１人ぼっちは不安 (yoshie815・千葉・パートナー無・22歳)
私は現在1人暮らし、マンションに住んでいますが、ご近所付き合いがまったくありません。災害時、携帯もつながらなくなり、1人ぼっちだと思うと不安です。物資の備蓄はもちろん大切ですが、情報の交換など、助け合いをできる人が近所にいてほしいです。

わかっちゃいるけどできない！？ (kiana・滋賀・パートナー無・22歳)

30年以内に地震が起こる滋賀に住んでいます。私の住む地域の被害はあまりないと試算されているせいか、何の動きもありません。私も実感がなくできていません。必要なもの①ケータイと電池②毛布③食料④水⑤お金。私は心、防寒、食欲対策が最重要であると考えました。①家族とはぐれたりといったストレスの原因を生み出さないため。安定剤。③の食料は飴など個々に包装されているもの。④が意外と大切かと。コンビニが開いていてもお金がなければ何も手に入りません。

とにかく水 (rio2・北海道・パートナー有・38歳)

阪神大震災の時、私の家は初日に水がまだ出たのでいやな予感がしてなんとなくお風呂にいっぱいためました。その後、断水となり、最初は食事に使い、冬だったのでトイレ、洗顔、ちょっとしたものを洗うために一カ月使用しました。あれがなければ、バケツで給水所から一人で水をさらに大量に運ばなければならなかったでしょう。水を運べるポリタンクが手に入らず、道ばたで五千円で売られていたのですが、高すぎて買えず涙をのみました。完璧ではありませんが、貯水グッズだけは揃えています。

5日目の円卓会議の議論は...

究極の防災グッズ

「ざおざお」（中国）さん、鳥インフルエンザは、ほんとに心配ですね。日本でも新型ウィルスの危機管理がやっと厚生労働省で動き始めた段階です。地震ではありませんが、防災の考え方は同じです。この内容でOKだと思いますので、ぜひ維持してください。
「Tree」（大阪）さんと「もろりん」（大阪）さんからご意見いただきましたお風呂の水。そうです、災害時に雑用水として使用できますから絶対に溜め水してください。注意点をひとつ。小さいお子さんがいるご家庭では、お風呂のフタは板状のものにしてください。フタの上で遊んでいて、溜め水に落ちて水死する事故が起きていますので、ジャバラのフタは避けてください。
「ぽわぽわ」（神奈川）さんのように、防災グッズのメンテナンスはなかなか面倒くさいですよね。9月1日防災の日に、とくかく全部一式取り替えてしまうのが能率的です。

さて、最終日。お約束通り「防災は日常の延長線で備える」とびっきりのノウハウをお伝えします。
まず、「災害時の飲料水」について。できるだけトイレに行かなくてすむよう水分を取らないと、「エコノミークラス症候群」で急死するような大変危険な状況を生みますので、水は飲んでください。家庭の中でいつでも新鮮な水が約10リットル備蓄されているところ……　そう、水洗トイレのタンクです。この水を災害時の飲料水に活用するため、地震後に身の安全が確保されたら真っ先にトイレのチェックをしてください。タンクが壊れていなければ、すぐに水を流すレバーをガムテープで固定します。一回ひねってしまえば、貴重な10リットルが一瞬にして流れてしまいます。水道は止まっていますからいつものような補給はされませんから要注意。この水を災害時の飲料水にする、と決めたらタンクの水で手を洗わない、タンクに洗浄剤・芳香剤を入れない、という掟を徹底してください。これで約10リットルの飲料水が、特別な備蓄をしなくてもOKです。ただし、最近おしゃれなタンクレストイレが普及していますが、この場合は諦めてください。

次に、「災害時の食料」。災害後はすごいストレスが溜まりますので、口に入れるモノは大変重要です。普段食べたこともない乾パンや非常用食料を口に入れる、それだけでストレスが高まります。そこで、日常から食料が備蓄されている冷蔵庫を活用しましょう。地震後、トイレの次に冷蔵庫を確認です。地震後、停電してしまえば最近の大型冷蔵庫はタダのでかい箱です。すぐに「冷凍室」からカチカチに凍った食品を取り出して、「冷蔵室」の最上段にできるだけ多く詰め込んでください。肉やマグロのブロックなども。その下段に食べたい食品を入れます。そして、扉をガムテープでしっかり密封してください。せっかく地震が起きたのですから、地震後1～2日目はいわゆる非常食を食べてみましょう。3日目になったら、この密封した扉を「ジャ～ン！」と掛け声とともに開けてみてください。ほどよく自然解凍された食品は食べ頃です。下段に入れた食品も保冷されています。避難所にはやっと、おにぎりや菓子パン程度が届いている状況ですが、あなたの家庭ではバーベキューパーティをしましょう。そのためにもカセットコンロが絶対に必要、ガスは止まっています。ここでも掟です。災害時は「なまもの」は絶対に食べないでください。マグロのブロックが解凍していても、刺身で食べてはいけません。必ず火を通してください。これで暖かい食事を口にすることができます。私の経験では、被災後は緊張しているので1日3食も食べれませんから、2食を基本に考えましょう。体力の消耗が怖いので、食べられるときに食べられるものを口にしてください。辛すぎるモノ、甘すぎるモノも喉が渇き、水が欲しくなりますから避けてください。私はカロリーメイトを非常食としてお薦めしています。

そして、飲んで食べれば、出ますね。排泄は、我慢できません。「災害時はネコになろう」と訴えています。トイレがOkであれば便器にゴミ袋（可燃物用）を被せ、その中にネコのトイレ砂をスコップでまず一杯。その上に大でも小でも、用をたしてください。そして次に使う人のために、自分の汚物の上にもう一杯の砂をかぶせてください。袋が一杯になったら口をしっかり締めて、トイレに置いておきましょう。じきに、行政がゴミの収集を始めますから、燃えるゴミとして出してください。ネコを飼っている方はすぐに納得されると思いますが、ネコ砂は吸水力、吸臭力に優れており、なにより安いのが魅力、そして燃えるゴミで処理可能。災害時はネコになってください。

いかがですか？　日常生活の中でちょっと知恵を出し、少しの掟を作ることで、特別な備蓄をしなくても災害時の自立ができるノウハウです。詳しく知りたい方は、拙書「高層難民」（新潮新書）をお読みください。

さあ最後に、外出時にも有効な「究極の防災グッズ3種の神器」です。それは①ペットボトルの水　②携帯電話　③携帯ラジオ。
①ペットボトルの水、皆さんのバックにいつも入っていますよね。この水が、地震後の生命を維持する最初の水になります。平常時は空になれば捨てるボトルも、災害時には絶対に捨てないでください。どこかで給水所が開設されますから、この空のペットボトルが水筒になり給水を受けることができます。
②携帯電話、無くなるとパニック！　ですよね。災害時に使えないのでは？　いいえ、音声は輻輳規制でつながらなくても、メールはつながる可能性があります。なにより、時間が経てば携帯電話は使えるようになります。また電話やメール機能だけではなく、アドレス帳には大切な人の電話番号が記録されています。それぞれ覚えていますか？　公衆電話が災害時優先電話になっても、番号がわからなくてかけられないなんてことが起きないように。ディスプレイの明かりは懐中電灯の代わりにも。電池式や手回し式の充電器もバッグに入れておきましょう。
最後に③携帯ラジオ。災害時に情報が途絶すると、大パニックに陥ります。なにより正しい情報をラジオから入手して行動の判断にしてください。携帯でワンセグTVやFMが聴ける機種も増えてきましたが、これら機能は電力を消費します。携帯電話はあくまでもあなたが情報を発信する電話機能のために無駄な電力は使わないことです。携帯ラジオがバッグに入っている人は少ないと思いますので、今からすぐに常備してください。スペア電池も忘れずに。

長くなっていましたね。防災グッズをまったく準備していない70％の方は、ぜひこれを機会に備えてください。防災は、頭でわかっているだけではなんにもなりません。できることから具体的な行動を起こして初めてそのときに役立ちます。この備えは、地震が来る前にしかできないこと、忘れないでください。

渡辺実
防災・危機管理ジャーナリスト


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