しつけの思い出ありがとうございます。今の自分の性格や生活を振り返っていろいろと感じることが多いようですね。やはり幼いときの繰り返しが、自然と身についていくことが大切ですね。親御さんへの感謝の気持ちが多くあったことが、自らが親となった今自分自身へのエールにもなりますね。
しかし反対にしつけのみに目を奪われてしまうことは、子どもにもそして親にとってもしんどいことですね。しつけをしつつ、その中においても子育てを楽しいものにしたいという思いは誰にでもあるのではないでしょうか。そう考えると子どもを育てるのに必要な力のとして、バランス力というものが求められます。
子どもを育てるベースとなる力はやはり「愛情」です。無条件の全面的な肯定がまず大切になってきます。その中で子どもは自信をもち自尊感情が育ちます。しかし無条件の愛情だけではなかなか子どもは育ちません。例えば赤ちゃんが何か石ころを口に入れようとします。無条件の愛だけなら、そのことを許すわけです。しかし実際は手を止めさし石ころを取り上げます。「こんなん食べたらだめよ!」つまり子どもの行動を制限するわけです。そしてこの社会のルールや規則、自分の思いだけでない生き方を提示します。つまりこれが「しつけ」です。
無条件の愛情を「母性」といい、子どもの行動を制止したりする力を「父性」といいます。これは女性のみや男性のみにあるものではなく、子どもを育てたりする中で培われていくひとつの能力です。「女性は生まれながらに母性本能がある」なんて事は疑わしいものです。また母性は「やさしさ」であり、その機能は「包む」と考えられています。そして父性は「強さ」であり、その機能は「切る」とされています。「愛情としつけ」「優しさと強さ」「包むと切る」このように対比して考えると、子どもを育てるときのバランスの大切さが感じられるのではないでしょうか。このバランスは、もちろん育てられる子どもたちにも感じてほしいものですね。現代社会を生きていくのには、どちらか一方だけではなく、この両方の力が必要になってきます。しつけを通じて、この二つのバランスを上手く兼ね備えられる人になってほしいと思います。
そしてこの二つのバランスを上手くとって、子どもを育てる力を僕は「育児力」としています。そのためにもすべての育児を一人の人間が行うのではなく、母親や父親、祖父母、地域の人など、さまざまな人との関りの中でこのバランスを大切にしていってほしいと思います。
それでは今日は皆さんの中で「これだけははずせないしつけ」を教えてください。これまでにもいろいろとあがっていましたが、これだけは子どもにしっかりと伝えたいものなどを教えてください。 僕が子ども達にこれだけはと思うことは「あいさつ」ですね。これだけははずせません!
小崎恭弘 神戸常盤大学短期大学部 幼児教育学科准教授 |
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