みなさんが大切に思っている「しつけ」に対するご意見ありがとうございます。あいさつなどのやはり基本的なことが多かったようですね。やはり「しつけ」は社会で生きていくための基本的なマナーであり、その基本ができて初めて応用や個性が生まれるのでしょうね。
ただしつけがこれほど意識されている背景には、残念ながら今の社会の中でしつけがおろそかにされ、社会的なマナーがなかなか守られていないということが言えるのではないでしょうか。 僕は大学で就職の担当をしています。多くの学生の面接活動の面接をし指導もしています。その中において、ノック、礼、あいさつをスムーズ行い面接会場に入室できる学生は、あまり多くありません。礼が斜め向いていたり、首をちょこんと折り曲げるだけであったり、座り方も自信なさそうで、ぎこちなかったりしています。それらの指導もしなくてはいけませんが、大学でいくら指導しようと思ってもなかなか上手くいきません。これらの「所作」はやはりその学生一人ひとりに身についているものであり、これまでの育ちの中で培われたものです。
しかし何名かはとてもスムーズな立ち振る舞いをごく自然に、そしてさりげなく行っています。極端に面接の練習をしている学生から感じる「やらしさ」などは一切感じません。少し話を聞いてみると、ご家庭で丁寧にしつけをされているようです。特に厳しいというわけではなく、その学生たちにとっては「当たり前」として、所作が身についています。そんなときには「今日帰ったらお家の方に感謝と御礼をしておきなさいよ!」と声をかけます。このようなよいしつけは、ぜひ世代間を通じて伝承していってほしいですね。
「やり直したいしつけありますか」ということで、一週間お付き合いいただきありがとうございます。多くの方が今のところ「Yes」とのことです。それだけ迷ったり、悩んだりすることが多いのが、しつけだと思います。保育の格言で「子どもは思ったようにも育たないし、心配したようにも育たない」というものがあります。親としてできるだけのことはしてあげたいです。しかし最終的にそれを受け入れるかどうかを決めるのは、間違いなく子ども一人ひとりです。そしてもう一つ格言「子育てはいくらはじめるのが早くても早すぎることはないし、おそくても遅すぎることはない」というものもあります。
親が何かに気づいたり考えたりしたことを、今からはじめたらいいのですよ! しつけもまさにそうです。「もう手遅れ」と思うのではなく、今からでもぜひまた一から始めてみましょう。皆さんが親御さんから受けて感謝している多くの思いやしつけを、今度はぜひ子どもたちに伝えていきましょう。しつけの基本は家庭から、そしてそれが社会へと広がりマナーにつながります。人と人が気持ちよく生きていく社会の作り方、案外身近なところにあるものですよ! 一週間ありがとうございました。
小崎恭弘 神戸常盤大学短期大学部 幼児教育学科准教授 |
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