イエスとノーと約1対3ぐらいですが、実際にはほとんどの方が消費税の増税はやむをえないと考えておられるようですね。ただ消費税を増税してそれがどのように使われるのか、また消費税をすべてのモノやサービスにかけるということでいいのか、という問題は多くの方が指摘するように気になるところです。
アメリカでオバマ大統領が就任しました。オバマ大統領は、国民が税金の使い道をチェックできるようなサイトを用意するそうです。 recovery.com というサイトだそうですが(まだ動いていないと 思います)、透明性を確保するというやり方は日本でもぜひ見習ってほしいものです。
税金というものは、基本的には国民があまねく広く負担すべきであると僕は考えます。所得が低くても、やはり社会の便益を受けている以上、ある程度の負担は仕方がありません。問題は、その「ある程度」とは「どの程度」なのかということです。
そして同時に、日本でもこれまで累進税率のカーブは緩やかに変わってきました。つまりは高額所得者の税率が下げられてきたわけです。これは所得格差を大きくする方向に働くのですが、それで本当にいいのかどうか、反省する時期に来ているとも思います。
アメリカにウォーレン・バフェットという投資家がいます。バークシャ・ハサウェイという投資会社を経営しているのですが、彼があるとき税率をフラットにするという構想についてどう思うかと聞かれました。フラットにするとは、たとえば金持ちも貧乏人も所得の20%を税金として払うというやり方です。バフェット氏はこう答えました。「私はもっと税金を払う余裕がある。だからフラットにする必要はないし、今の税率でもフラットになりすぎていると思う」。
そして、消費税というのは「最もフラット」な税率ということになります(誰でも5%払っているからです)。しかも所得に対する税率という意味では、使わずに貯蓄する余裕のある人々と、すべての収入を使い切ってしまうその日暮らしの人々とでは、大きな差があります。そこのところをどうするかという問題を議論しなければなりません。食品を課税対象から外すというのは一つの方法です(あまりに複雑にすると、徴税コストがかさんでしまいますが)。
さて皆さんは、増税をしてそのお金を何に使うべきだと考えますか? たとえば医療費について、現在は税金で負担しているのは総医療費の約3分の1ですが、これをもっと増やすべきでしょうか。あるいは介護手当を増額すべきでしょうか。空母を建造するのに使うべきだという人はたぶんいないでしょうが、皆さんのお考えをお聞かせください。
藤田正美 『ニューズウィーク日本版』元編集主幹 |
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