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今週のテーマ会議番号:2867
消えた年金記録。紙台帳との「全件照合」は必要?
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5日目/5日間
働く人の円卓会議
5位
【開催期間】
2009年12月07日より
2009年12月11日まで
円卓会議とは

野村修也
プロフィール
このテーマの議長
野村修也 中央大学法科大学院教授、弁護士
円卓会議議長一覧
今回の円卓会議で頂戴した数々の投稿は、いずれも本質的かつ有益なご意見ばかりだったと思います。中でも、……
議長コメントを全文読む
4日目までに届いている投稿から...
月曜:1日目(テーマの背景) 火曜:2日目 水曜:3日目 木曜:4日目 金曜:5日目(リポート完成)
yes 公務員としての義務です (紅茶博士・東京都・パートナー有・42歳)
年金制度を崩壊させないために、全件照合は当然の義務だと考えます。行方不明の状態を容認するなど、一般企業であれば考えられない発想です。日本の公務員はイタリア等の国と比較ですが、かなりしっかりしているはずです。公務員としての義務を履行していただきたいです。

no 責任を取らせる (モリッシー・茨城県・パートナー無・36歳)
そういえば「歴代の社会保険庁長官の退職金の返納!」と言う話しがありましたが、いつの間にか話しを聞かなくなりましたが、私はこれに賛成です。また、この消えた年金事件から私は公務員に「横領」や「背信」の罪が問われないことに、非常に、違和感を感じております。必ず適用すべきと考えます。また、公務員だと処罰できない、ということであれば大切なお金を預けるのに信用するのが難しいです。その意味で社保庁が来年から非公務員化するのには期待が持てます。

no 先に進むことも (ゆいゆい・埼玉県パートナー有・)
ミスを認めた上で、同じようなことが起こらないよう、みんなが納得できるシステムと作ることが一番だと思う。年金に関しては、今後手続きのミス等が起こらないよう、そして国民も自分の状況を把握できるようにする。現状の確認作業で被害者の救済も大切だが、どこかで線を引き(申告制にするなど)、前に進むことが必要だと思う。そうしないとこれから制度を継続するにも若い世代の支持を得られないのではないでしょうか。

no 謝り、解決にむけて動く (しましまパンダ・東京都・パートナー無・31歳)
国に限らず、人と人との関係でも基本は同じだと思います。ただ、国の仕事になると責任者が年を経るごとに変わるため、責任の所在が不明瞭になりがちとなり、規模が大きいためどうしてもスピードに欠けてしまうという印象があります。最後に提案ですが、期間を決めて自己申告制で給付、というのはいかがでしょうか。せっかく特別便をだしたのならそれを生かさないともったいないのでは?

no できれはしたほうがよいのですが (tibiko・大阪府・パートナー無・39歳)
議長提案の「砂金を探す方法」に賛成です。情報システム関係の仕事をしており、トラブル対応時に原因が見つかり、対応後、他にも同じようなことをしていないか、調査をして対応することがあるからです。年代、地域、場合によっては、ある場所で登録した物を全部という具合に、調査していき、影響が大きい物、問合せの多いものから、つぶす(対応)していき、最終的には、紙台帳と一致できればと思います。

no 国民総動員の意識で (真打ち・栃木県・パートナー無・40歳)
議長の、「ボランティアを交えた国民運動に高めていく」とのご意見を嬉しく拝見した。私は、費用の掛からない方法の一つとして、ボランティアの力で と、一旦は考えたものの、他人の業務ミスに対して尽力する人員の確保はどれ程のものか……と躊躇していたのだ。タンカーの事故で重油にまみれた海や鳥を、各地からあつまった人々の手できれいにして行った報道を思い出した。限定的な所で発生した出来事と言う点では、同じではないだろうか。
5日目の円卓会議の議論は...
月曜:1日目(テーマの背景) 火曜:2日目 水曜:3日目 木曜:4日目 金曜:5日目(リポート完成)
霞ヶ関にはびこる「無謬性の神話」が問題
今回の円卓会議で頂戴した数々の投稿は、いずれも本質的かつ有益なご意見ばかりだったと思います。中でも、昨日いただいたご意見の中には、深く議論する必要のある問題が多数含まれていました。

まず、今回の円卓会議の主たるテーマである紙台帳との「全件照合」に関しては、公務員の義務として全うすべきという紅茶博士さんのようなご意見が依然として根強い一方で、システム・トラブルの対応に従事されているご経験を踏まえて、当たりを付けながら絞り込んでいった上で最終手段として照合を行うことが必要だとするtibikoさんのご意見や、期間を決めて自己申告させて給付する方法を提唱されるしましまパンダさんのご意見、さらには同じく自己申告制などけりを付け、そろそろ前に進むことが大切だと主張されるゆいゆいさんのご意見など、現実的な対応を志向するコメントも多く寄せられました。言うまでもなく、どちらかの意見が正しくて、どちらかが間違いだというわけではありません。大事なことは、私たち国民が今後そのいずれの道を求めるのか、そろそろ真剣に議論しなければならない時期に来ているということなのではないでしょうか。

さて、国(行政)がミスを犯した場合、その失敗を許してもらうためにしなければならない最も大切なことは何か、という私の最後の問いかけに対しても、興味深いご意見がたくさん寄せられました。歴代社保庁長官の退職金返納や、着服や改ざん等を行った現場の職員に対して横領や背任の罪を負わせるべきだとするモリッシーさんのご意見は、やや厳しく聞こえる面もあるかと思います。しかし、その責任の問い方には議論の余地があるにせよ、責任の所在があやふやになっていることに対する不満は、多くの国民が共通して抱いている感情なのではないでしょうか。

確かに、自主的に退職金等の一部を返納した元長官もおられますが、「私の責任ではないが、道義上返納する」というニュアンスが強く、国民の納得感は得られていません。また、公務員だからと言って横領や背任の罪が問えないわけではなく、現に年金保険料を着服した職員は逮捕・起訴されていますが、こうした罪を犯した現場職員だけを処分すれば済む問題なのでしょうか。むしろ、年金記録に対する杜撰な管理体制を放置してきたエリート官僚たち(具体的には、自らのキャリアパスとして、数年間、社会保険庁幹部の地位を占めた後、本省に戻って出世街道を歩み続けていった厚生労働省の職員や、社会保険庁の本庁で採用された幹部職員、それに現場の実務に配慮することなく、ひたすら机の上でミスを犯しやすい年金制度を作り続けてきた厚生労働省年金局の職員など)にこそ、責任が及ばなければなりません。そこがあやふやになっていることこそが、国民の不信感を払拭できない最大の問題なのだと思います。

霞ヶ関(中央官庁)には、「無謬性」の神話というものがあります。行政(官僚)は「間違いを犯さない」という神話です。もちろん、本当に間違いを犯さないわけではありません。人間ですから誰でも間違うはずなのですが、それを「間違いではなかったことにする」のが霞ヶ関の文化なのです。私自身、かつて3年8ヶ月ほど、金融監督庁(現・金融庁)で非常勤の参事(後に顧問)をしていたことがありますが、役所の仕事の大半は、これまで行政が行ってきたすべての行為が「間違っていない」という理屈を作りつつ、こっそりと軌道修正していく作業に費やされています。私などは、「良かれと思ってやったけれど、それが間違いだったので、新しい方向に修正します」と言えば済むはずなのに、どうしてこんなに理屈作りに時間をかけるのだろうと不思議に思っていましたが、ある時、官僚の一人が、「以前の制度は今の事務次官が課長の時に作った制度なので、間違いだったとは言えないんだ」と教えてくれました。一瞬冗談かと思ったのですが、真顔だったので、ちょっと恐ろしくさえ感じたのを覚えています。実におかしな文化なのですが、霞ヶ関の住民になると、いつの間にかその文化にどっぷりと浸かってしまうのでしょうね。

そうした経験から、私自身は、しましまパンダさんと同じ意見を持っています。年金記録問題が起こってから、皆さんは、年金制度や年金業務に携わってきた官僚たちから、謝罪してもらった記憶がありますか? 私には、その記憶がありません。彼らは、もう少し待ってくれれば、紙台帳と全件照合することで、壊れた年金記録を完全に修復するので、今しばらくお待ちくださいと言い続けています。しかし、完全修復など出来るはずがないのですから、無理だと認めて謝罪するのが正しい道のはずなのです。しかし、ここでもまた、「無謬性の神話」が邪魔をします。謝罪することは、エリート官僚の誰かのキャリアに傷をつけることになるからです。紙台帳との「全件照合」のために湯水のように使おうとしている数千億円の照合費用は、実は国民のために支出されるのではなく、ほとぼりが冷めるのを待つことで、最後の最後まで謝罪を逃れようとする官僚たちのために使われるように見えるのですが、皆さんはどう思われますか。

最後になりしたが、今回の円卓会議では、国民の側にも責任の一端があったことをご理解いただいた上で、自分たちに出来ることを考えようと呼びかけました。ボランティアを中心に据えた「国民運動」という私の提案にご賛同いただいた真打さん、ありがとうございます。大それたことは必要ないと思います。身近なところに、年金特別便の意味が分からず困っている人や、不備に気づきながらも社会保険事務所に足を運べず困っている人がいないかどうか、見回してみることが大切だと思います。身近な者がほんの少しだけ手を差し伸べるだけでも、被害者の発見につながります。被害者の多くは高齢者です。介護ボランティアをされておられる方々などが、少しだけ年金記録のことを勉強して高齢者の方に確認していだだければ、かなりの被害者が見つかるはずです。こうした活動の輪が広がれば、おそらく紙台帳との「全件照合」に数千億円の税金を費やす必要はなくなると思います。

本当に楽しい一週間でした。これをきっかけに、本(『年金被害者を救え ― 消えた年金記録の解決策 ―』)が売れるといいな(笑)と思いつつ、今回の円卓会議は終了です。皆さん、活発なご参加をありがとうございました。

野村修也
中央大学法科大学院教授、弁護士
野村修也


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