イー・ウーマンぬで島次郎 ES細胞の研究に、賛成ですか?

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会議番号:2686

ES細胞の研究に、賛成ですか?

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【開催期間】
2009年03月30日より
2009年04月03日まで

円卓会議とは

このテーマの議長

ぬで島次郎　東京財団研究員

ES細胞とは、胚由来の幹細胞(embryonic stem cell)の略称です。 3月9日、米国のオバマ新大統領は、選挙戦�……

議長コメントを全文読む

1日目の円卓会議の議論は...

ES細胞とは、胚由来の幹細胞(embryonic stem cell)の略称です。
3月9日、米国のオバマ新大統領は、選挙戦での公約通り、人のES細胞研究に対しブッシュ前政権が課してきた制限を撤廃するよう指示する行政命令を出しました。
これは日本でも大きく報道されたのでご覧になった方は多いと思います。報道では、これで米国のES細胞研究が一気に加速し、日本はますます遅れをとってしまうという論調が大勢でした。
では、日本も米国に負けないよう、どんどんES細胞研究を進めるべきなのでしょうか。

幹細胞とは、体のさまざまな部分を形作る細胞がそこから生まれる、元になる細胞という意味です。
ES細胞は、体中のすべての細胞に分化できる特殊な能力をもっているとされます。糖尿病の治療のための膵臓の細胞や、心臓病の治療のための心筋の細胞などを、ES細胞から大量につくることができると期待されています。ほかの人の臓器を移植するのではなく、必要な臓器の細胞を生産して治療に使おうというのです。これを「再生医療」と呼んでいます。

ブッシュ前政権がES細胞研究に制限を課してきたのは、ES細胞をつくるには、人の命の元である受精卵を犠牲にしなければならないからです。
胚由来幹細胞という名の通り、ES細胞は、受精後4、5日成長した段階で、受精卵（胚と呼びます）を壊して中の細胞の塊を取り出し、培養してつくります。そこで用いる胚は、不妊治療で体外受精によってつくられ、保存されていたけれど、もう元のカップルが子づくりに使うのをやめることにしたものを提供してもらうのが普通です。

再生医療に役立つからといって、子宮に戻せば一人の子の誕生につながる可能性がある胚を犠牲にしてよいでしょうか。この倫理的理由から、欧米諸国では、ES細胞研究は許されるか、許されるためにはどのような条件が必要か、大きな社会問題として議論されてきました。
米国では国の予算を使う研究には厳しい規制が課されてきましたが、民間や州のお金を使う研究は、かなり自由に行われています。それに対しヨーロッパでは、法律で禁止したり、米国よりも厳しい条件を課す国もあります。

日本では、2001年に施行された文部科学省の指針で、ES細胞研究の実施条件が決められ、国の事前審査で認められないと研究ができない状況にあります。しかし米国の規制緩和発表に続いて、3月17日には文部科学省の審議会も、規制を緩める方針を打ち出しました。

あなたはどう考えますか。ES細胞研究に、賛成ですか？

これまで日本ではこの問題は、欧米に比べると、一部の専門家の間だけで議論され、社会全体の意思決定なしに、進められてきたように思います。
この円卓会議では、ぜひ多くの人が、ES細胞研究について声を上げていくきっかけになればと期待しています。

ぬで島次郎
東京財団研究員


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