ホーム > サーベイリポートデータベース
最近、子どもの学力・理解力の調査に関する報道が目につきます。今月15日、文部科学大臣は、中央教育審議会の子どもの学力・意欲が低下しているとの懸念を受けて、「ゆとり教育」の見直しを要請しました。現行の指導要領は、3年で見直しを迫られることとなりました。
しかし、それぞれの調査結果をよく分析してみる必要があります。国際数学・理科教育動向調査では、小学校の理科および中学校数学の学力は前回より低下しているが、国際的にみて上位であると報告されています。総合初等教育研究所の漢字の習得状況調査では、正答率の低かった個別の問題がクローズアップされていて、多くの問題はまずまずの正答率であったようにも思えます。また、地理学会の調査ではイラクや北朝鮮の位置を知らない高校生や大学生が多いと指摘していますが、以前の調査もなく一般の大人の正答率とも比較できません。もちろん好ましくない傾向とはいえるでしょうが。
子どもの学力は低下していると判断しゆとり教育を見直すことで、学力や勉強意欲の問題が解決するのでしょうか。学力の偏り、個人差の拡大、子ども自身の学びからの逃走や閉塞感、急速に普及したメディアの影響、そして家庭や大人社会の影響などさまざまな観点を冷静に判断する必要はないでしょうか。そこで、今回は、子ども達の学力の低下に関する議論について、皆さんとともに考えてみたいと思います。ご意見をお待ちしています。