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「バリアフリー」……デザインの仕事をしていると、この言葉と常に向かい合わせになります。デザインの仕事はたんなる枠組みを作ることだけでなく、使う人の心に働きかける仕組みさえも構想し、具現化することにあります。個人の心にあるバリアを取り去ることで、それもバリアフリーな状態を作ることだといえると思います。
つまりこの言葉、物理的な意味より深い意味をもっていることに気が付きます。「世界と私」「社会と私」「地域と私」「顧客と私」「友人と私」「家族と私」……どこにもバリアがあり、開閉する間やタイミングで関係性が成り立っています。もっと言えば個人の心の中にもバリアがあり「私の本質」と向き合うことに距離をおくこともあると思います。
私の仕事は様々な「バリアフリー」な人と「バリアフリー」な活動の連続です。21世紀の仕事の仕方は、個人の職能としての技術と他との関わりで成り立っていくのだと思います。それは心のバリアの開閉具合をどのように保っているかに関わってきます。私が接した世界中のバリアフリーな人達は、複雑な社会システムの中で健全に仕事に邁進しています。多くの人を惹きつけながら進むことの稀有さは見習うべきことがたくさんあります。
デザインをする上でも生きる上でも重要なエッセンスである「バリアフリー」。そして私が私であるための「バリアフリー」について一緒に考えたいと思います。