
想像を絶する交通事情
レバノンは内戦で多くを失ったが、交通インフラと交通ルールも例外ではない。2年半前に引っ越してきた時、国内に信号機は存在しなかった。現在では、ベイルートの中心部で何台か見かけるが、あまり気に掛けられている様子がない。後続車のいる状態で赤信号を守るのには、今でも結構勇気が必要。車線の表示も不十分で、道幅の広い道路では、その場の運転者の技量と度胸によって、車線の数がコロコロ変わる。かなりのスリルだ。
暴走車も怖い。年齢性別を超えてスピード狂が多く、日本同様の狭い通りを時速80km(に感じる)で突っ走る。レバノンで死亡要因の第一は交通事故だそうだ。
プラスの変化はある。信号機や車線もそうだが、昨年、運転者のシートベルト着用が義務付けられた。イスラム教、キリスト教と宗教が社会の基盤をなすこの国では飲酒運転を聞かない。子だくさんの家庭が多く、チャイルドシートの義務化は難しそうだ。ならば次はぜひ、運転中の携帯電話使用の取り締まりを、と願うのはわたしだけではないと思う。

交通安全のお守り“good luck”
レバノンでは幼児の靴が交通安全のお守りで、車のテールにぶら下がる小さな靴をよく見かけます。ちなみにわたしは、初めてこれを見た時、人身事故を疑いました。