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食事中、普段から一緒にワインを楽しんでいる方もいれば、ワインは特別な日にしか飲まないという方もいらっしゃると思います。いずれの方にも、ワインが食卓に加わると気分は変わるのかどうか、皆様のご意見を尋ねてみたいと思います。また、変わる方については、どんな風に変化するのでしょうか?
こちらのテーマをお聞きする背景には、もともと私にとってワインの存在だけでなく、料理とワインのコーディネイトをはじめ、どんな器に、どんな盛り付けで、テーブル周りの小物や色使いにも工夫するといったトータリティーで食事を演出する工夫があれば、毎日がもっと楽しくなるのではないかということを実感として持っていたためです。ランチョンマットやナフキン一つ、時に取り替えてみるといった小物の使い方一つでも、ろうそくをともすというほんの小さな工夫だけでも、気持ちがパッと明るくなったり、弾む会話のきっかけづくりができるようになれば、食事という一つのシーンが日常の中に埋もれることなく、毎回新鮮で楽しい時間になるのではないでしょうか?
昨年の夏、フランス南西地方を訪れたときに滞在させていただいたお宅で、とても素敵な夕食会が開かれました。お庭に、8人が一同に座れる一枚板の大きなテーブルを出して、この地方の名産でもあるバスク織のクロスを引きました。これはバスク地方の特産で、7本のラインが目印の上質のコットンや麻を使った一品です。色鮮やかで生地がしっかりとしていて、オリーブの木やハーブなどが植えられたシンプルで手入れの行き届いた庭にぴったりな温かみのある中にも洗練されたイメージです。その上に、大きなろうそくを沢山並べて、フランスの郷土料理のイメージにぴったりの、ぼってりとした厚手のお皿が並びます。そこには、凝ってはいないけれど地の新鮮な食材を生かしたお料理がお腹がはちきれるほど出され、南西地方のまだ日本では有名ではないけれど、色調と味わいの濃厚さとしっかりしたタンニン、余韻の豊かさが印象的な赤ワイン「マディラン」が饗されました。
ぜいたくではないけれど心のこもったおもてなしこそ心に触れる食事の思い出になります。そこには、トータリティーの演出がやはり大切だと実感しています。そして、私にとって食事のときに気分を変えるのにワインは必要不可欠になっています。