
確実な証拠と、訴える決意(ありる)
YESですが、条件があります。決定的な証拠と確信があり、被害者が自分か、または訴える意志が明白な人であること。しかし、実は被害者の意向がわからず、確信も持てず……という状況の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。実は、もう10数年前になりますが、高校の頃、満員電車の中で痴漢行為に遭いました。当時、超直情的だった私。追いかけて捕まえ、駅長室へ行こうとしたところで、「どうせ被害状況なんて口にできねーんだろ、やめとけよ」と相手に開き直られて、頭が怒りで真っ白になり、その男性の背広の袖をその場で裂き破り、「このまま逃げてもいいわよ。家帰って奥さんに言ってみなさいよ、誰に破かれたのか、どうして破かれたのか。せいぜいしどろもどろで言い訳するのね!」と大声で叫びました。結局、その場に駅員が駆けつけ、その男性は警察行きとなりましたが、その後も……いろいろありました。一矢報いてやった、と当時は思ったものですが、今では、私自身の愚かさを反省するのです。痴漢行為が卑劣であることは、疑いありません。けれど、被害を訴えるには訴える側がまず賢くならなければ。助けてあげたつもりが、被害女性に「すみません」と逃げられてしまい、結局見逃さざるをえなかった、という経験もあります。「その場で」できることには限りがありますが、少なくとも「確実な証拠」と「訴える決意」が揃わなければ、訴えることはできないと思います……。
訴える側にも時間と労力が求められる(nagachan)
捕まえました、実際に。帰宅途中の電車の中で痴漢行為に気づき、下車駅で「あんた痴漢でしょ、降りなさい」と宣告しました。走って逃げたので、大きな声で「その人痴漢です!」と叫び、逃げ道をすべてふさいで、駅前の交番に連れて行きました。しかし、ここからが問題。交番では取り調べができない(警察官がいるのにも関わらず)ため、車で10分ほどの警察署まで行かなければならず、またそこでも執拗な事情聴取があり……。保育園で子どもが待っていたため、時間的余裕のなさから途中でいやになってしまい、告訴までは至りませんでした。
「訴えますよ」と言えば済むのでは?(syura・神奈川・パートナー有・43歳)
高校時代から、大学生、そしてOL。通勤電車の時間帯に電車に乗ると、ほぼ毎回痴漢にあっていました。あの頃、そんな話を周りにすると「隙があるからだ」といわれ、大変に嫌な思いをしたものです。その頃の後遺症かどうか、私は今でも男の人を性的には、全然信用していません。痴漢は、する方が悪い! と社会が認知してくれたことはとても嬉しいことです。私のようなくだらない理由で男性恐怖症の女性が一人でも増えないことを祈ります。ただし、それを利用して、女性が男性を陥れて良いとは思いません。今、痴漢にあったら、「やめて下さい、訴えますよ」と言えばそれで十分触られることはないのではないでしょうか? ただし、あくまでも性犯罪は、人間性の蹂躙です。罪が軽くなっていいとは思いません。犯した人間は、厳罰に処するのが当然。ただし事実関係の確認は慎重に、と思います。
手続きのわずらわしさ(amamjp・千葉・パートナー有・34歳)
以前ひとり捕まえて警察に突き出しましたが、実際の告訴まではしませんでした。そのころ仕事が忙しく、手続きするための時間調整など、わずらわしさへの心配が先に立ったためです。土下座して謝ってもらい、それでよしとしました。だいたい、窃盗などの被害に比べ、痴漢にあったといっても職場の男性はあまり同情してくれません。半分冗談ながらも、「あなたを触る物好きがいるんだ?」という人もいたりして……。また、電車の痴漢被害を減らすには、話題の女性車両などよりも、デスクワーカーのSOHO化が進んで都市部の過密車両が少なくなることのほうが有効ではないか、とも思います。
罰則を伴う犯罪だという認識を(ルーク88・広島・パートナー有・46歳)
現在は、地方在住で満員電車に乗ることもほとんどなく、また痴漢被害の対象になる年齢でもなくなりました(笑)。でも、ふりかえれば小学校高学年の頃から、電車では幾度となくいやな思いをしました。当時は男性がそういう行為をするということ自体わからず、ものすごく混乱したのを今でもはっきり覚えています。早くから子どもたちを含め、そういった場合の対処法について教えておくべきだと思います。また冤罪については、難しい問題ですが、痴漢行為が罰則の伴う犯罪だということを広く認知させることが、犯罪の抑止に少しでも役立つのではと思います。