『敗者のゲーム』という本を読んだことがありますか?
アメリカのチャールズ・エリスという資産運用業界の大御所が書いた本で、この著者が言うには、運用の世界には勝者のゲームと敗者のゲームの二つがあるということです。
テニスの試合にたとえると、勝者のゲームはプロの試合。素人が休みにやるのは、敗者のゲーム。何が違うかというと、勝者のゲームは、サービスエースとかスマッシュなど、攻めているほうの要因で勝負が決まります。一方、素人のゲームは、誰かがミスをして負けることが多い。勝敗を決める要因が、負ける側にあるわけです。
かつてアメリカでは、株式市場は勝者のゲームだった。花形ファンドマネジャーが個別の銘柄を探してきて、買うと大きく値が上がり莫大(ばくだい)なリターンが得られた。ところが、ここ20年ほどは敗者のゲームになっている。インデックスに極めて近い運用をみんながしている中、うまい投資の話を一つでも組み入れ忘れると、途端に階段一段落ちてしまい、そこから追いつくにはかなりの努力が必要。そういうゲームのルールに変わったというのが、彼の分析です。
実際に、アメリカのファンドのリターンを見ると、8割ぐらいのファンドはインデックスよりも低いリターンになっています。なぜかというと、市場が非常に効率化してきて、いい銘柄を自分だけ見つけることができなくなっているから。誰も勝ちゲームができなくなれば、負けない人が勝つ。そこで、著者はインデックス運用をすすめています。
投資の古典的な基本を押さえたいい本なので、よかったら読んでみてください。