「貸株すると、株を自由に売ったり買ったりできなくなるのではないか」。よくある誤解の一つです。貸株しているときでも、「今日株を売っていいですか」といちいち問い合わせる必要はありません。売却すれば自動的にシステムが処理しますから、売却分を除いた分だけ貸し出すようになります。つまり貸株していてもその株の売買は自由にできるのです。
それから、このサービスのリスクですが、証券会社に株を貸しているということはその証券会社の信用リスクを取っているということになります。普通、株券は保振に保管されていますから、万が一証券会社に何かあっても分別管理されて守られています。でも、貸株サービスの場合は、株券の名義上の所有権が証券会社に移っているので、何かあったら貸株している人はその証券会社に対する一般債権者と同じになります。その会社が危険だと思ったら、貸株はしないほうがいいわけです(笑)。
ETFやREITでも貸株サービスは利用できます。なお、株主優待はもらえません。欲しい場合はその銘柄だけ貸株しないか、あるいは、優待の権利確定日の前にいったんはずして、終わったらまた貸株するという方法も。株主総会も基本的には出られませんが、どうしても出たい場合は、優待と同じ方法を使えば大丈夫です。
それから、配当ですが、普通は通知の書類を郵便局に持参して、お金に換えてもらったりしますよね。配当が1,000円とすると、10%税金が引かれて900円が手に入る。
貸株サービスの場合は、このケースなら900円が証券総合口座に直接振り込まれます。いちいち郵便局に行かなくていいので、わたしにとっては便利です。ただ、確定申告で配当控除をしたい人の場合は、これは配当金とは違う扱いなので不利かもしれません。
また、すべての銘柄が貸し出せるわけではありません。そのときどきによって適用除外銘柄というのがあって、証券会社のサイトに出ています。上場廃止になったり分割になったり、適用除外にはいろいろな理由があります。