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離婚に必要な準備と覚悟
だいぶ前のことですが、当時通っていたスポーツジムのサウナで、数人の女性たちが結婚生活の愚痴をこぼしあっているのを聞いたことがありました。同じエアロビクスのクラスの仲間たちらしく、夫がだらしない、思いや……
夫とは別々の国で暮らしていますが、一生パートナーでいてほしいと思っています。この世で一番大切なわたしの人生になくてはならない人で、彼を一生の伴侶に選んだことを後悔したことは一度もありません。
だけど、「結婚(入籍)」は後悔しています。自分が長い間、慣れ親しんだ姓を失い、過去をも失ったような悲しみを感じることがあります。独身時代に築いた資格・経歴はいちいち婚姻証明書を添付して、同一人物であることを証明しなければなりません。また、相容れない人たちまでもが突然、自分の家族になるのも耐え難いことです。
いわゆるペーパー離婚したうえで、今まで通り最高のパートナーとして支えあっていくのが理想です。けれど、実際に離婚して旧姓に戻れば戻ったで、今度は結婚後に築き上げたものが失われてしまうというジレンマが……。だから「本当は離婚したい?」にはYesだけど、実行には悩んでしまうのが現実です。
離婚しちゃった人です。女性の友人からの「離婚したい」という相談には背中を押してあげられますが、男性の友人の場合は思いとどまる方向に意見してしまいます。理由は、女性の友人は経済的な基盤があるけど、男性の友人の妻は扶養されている人が大半だからです。やっぱり経済的な問題は大きいと思います。愛情のない家庭で育つ子どもはかわいそうですが、子どもがいる専業主婦が、家族を養える仕事に就くのは容易なことではない世の中です。社会的なサポートが必要なのかもしれません。
28歳の時、離婚しました。嫌いになったわけではなく、一緒に生活する意味(意義?)が見えなくなったので。子どもがいなかったのも幸いしました。お互いに離婚を決めてから実行するまでに、非常勤務職員だったわたしは転職し、正社員になりました。それから2度転職して今の職場に落ち着きました。離婚して7年、確かに経済的な不安や、人の温もりが欲しいこともありますが、何よりも大きなポイントは「自由」を手に入れたことでしょうか? 年金問題や住宅ローン、住宅賃貸契約など、もっと独身女性(年齢問わず)に優しい環境を望みます。
夫とのケンカの原因は、後で思い出せない程度のこと。半日も続かないです。離婚という解決手段があったとしても、それは「最後の最後の手段」だと思います。そこまで行き着くことは今のところはありません。その手段まで行き着いてしまうようなことが起きれば、一生忘れない原因がでた時でしょうね。
育った環境も価値観も違うからこそ、お互いの考えや思いを情報交換し合わないと理解できない。だからこそささいなことを、その都度、話し合うことがとても重要だと思っています。それを繰り返していくことで、相手に対する理解が深まる。本音ではここまで手間暇かけたのだから、離婚してる場合ではない……と思ってます。
以前は離婚したいと真剣に考えたこともありましたが、今は二人の関係がとてもうまくいっていると思っているので、離婚は考えていません。二人とも同じ時間を長く過ごしてきて、お互いのことが少しずつ理解できてきたというか、半分くらいは諦めの部分があるかもしれません。やはり夫婦とはいえ元は他人です。自分の思い通りにはいかないことが数々ありますが、どこで折り合いをつけるか。それを時間をかけて学んだ気がしています。けれどこの先、いつ我慢できないことが起こるかわかりません。そのときには真剣に離婚を考えるでしょう。それまで経済的に自立できないから離婚はできない状態にならないよう、しっかり自分の足元を固めておきたいです。
だいぶ前のことですが、当時通っていたスポーツジムのサウナで、数人の女性たちが結婚生活の愚痴をこぼしあっているのを聞いたことがありました。同じエアロビクスのクラスの仲間たちらしく、夫がだらしない、思いやりがない、姑が息子の味方ばかりして自分に冷たいなどなど。打ち明け話ふうにいろいろな愚痴が飛びかっていました。「生活の心配さえなければ別れてやろうと思うわ」というのが、大方の意見でした。
その話をじっと聞いていた30代くらいの女性が「わたし、あるとき夫に我慢がならなくなって、あれが嫌、こういうことが許せないとそれまでの不満をぶちまけたことがあったのよね。夫は、反論してくるかと思ったら、じっと黙ってわたしの話を聞いていて、最後にぼそっとひと言、我慢しているのは君だけじゃないんだと言われちゃった。わたし、目からウロコが落ちたような気がしたわ」と言ったのです。サウナ中にシーンという音が聞こえたようでした。
人間同士の関係は、2つの歯車がかみ合って前進していくのに似ています。うまくかみ合えば、気持ち良く回っていきますし、そうでなければギシギシと気味の悪い音を立て、最悪の場合は止まってしまうかもしれません。常に、歯先を整え、油をさし、もう1枚の回り具合を確かめていなければならないのです。
ただし、これは、お互いにということが条件です。片一方だけが努力しても、歯車は決して心地よく回ってくれません。こういう努力を相手のためにできるかどうか、離婚への第1歩は、ここから始まるような気がします。
志賀こず江
弁護士