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急速に進む日本の少子高齢化は、年金改革や移民労働者の受け入れなど社会のあり方を大きく揺さぶる震源となっています。しかし実際には、少子化は日本だけの問題ではありません。ある予測によれば、現在64億人の世界人口は2050年ごろに約90億人で増加のピークを迎え、以降急速に減っていくと言われています。
日本の場合、70年に5・8だった合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数の平均)は1・8にまで低下しました。ドイツはさらに少ない1・4で、このままいけばドイツの人口は今後40年間に8250万人の2割近くが失われることになります。アメリカを除く先進国はどこも同じような状況に直面しています。
世界全体で人口が減れば、その影響範囲はそれぞれの国にとどまりません。先進国の消費市場が縮小すれば、日本が輸出産業の主力としている高付加価値の製品やサービスは行き場を失ってしまいます。労働力を国外から調達しようにも、多くの国は優秀な人材を囲い込むようになり、企業間の人材確保競争も激しくなるでしょう。
少子化が世界の未来に影響を及ぼす問題であることは確かです。ただ、どれほどの脅威なのかは、それぞれの国の住人が自分の国の社会や経済の未来像をどう考えるかによって変わってくるでしょう。少子化の何がどう脅威なのかを考えてみたいと思います。