銘柄が決まって、いざ買おうとなると、今度は「成行(なりゆき)」か「指値(さしね)」かを選ぶことになります。成行とは、その日にどんな動きをしていても金額を指定しないで動きに任せる、いくらでもいいから買ってくれというやり方。指値は、この価格または価格以下でしか買わないという金額を、自分で決めて買うやり方です。
指値には、「値幅制限」というものがあります。たとえば、今日の引けた値段が3万6100円だとすると、明日の値幅制限は上下4,000円。この値幅は東京証券取引所が設けているもので、株の値段によって違います。上下4,000円の値幅ということは、明日はどんなに下がっても3万2100円、どんなに値上がりしても4万100円までしか上がらない。これは、パニック的に売りが出たり、誰かが急に買い占めたりすると、暴騰・暴落など、極端に値が動く可能性が出てくるので、そのような事態を未然に防ぐためです。値幅を決めて、どんなに人気が出ても4万100円までというような制限を設けるわけです。
では、成行と指値、どちらで買うのがいいのでしょうか。 たとえば、20%上がったら売ろうと思って株を買う場合、その株が昨日100円だったとします。一つは、今日の値段は101円かもしれないし102円になるかもしれないけど成行で買う、という方法があります。 もう一つは、100円で指値をして買う方法。どちらが得か、その時点ではわかりません。101円の株が120円になるかもしれないし、101円の株が80円に下がってしまうかもしれない。でも、101円じゃなくて100円にこだわったばかりに買い損ない、20円もうけ損なってしまうのは悔しいですよね。そういうことが指値の場合はあり得るわけです。細かいところでケチったばかりにもうけ損なったということは、日常生活でもありますよね(笑)。それなら成行で買ったほうがいい。
では、何でも成行で買えばいいかというと、そうとは限りません。成行を使ったほうがいいのは、市場が熱くて取引数が多い株の場合ですね。新日鉄とかソニーとか、売買高の大きなもの。売りたい人と買いたい人がたくさんいるので、値段が極端にぶれたりすることがないわけです。買いたい値段の1円、2円を気にしなくても、そんなに大きな差にはならない。それよりも、本当はちゃんと投資したかったのに、指値にして機会を失うリスクのほうが大きいかもしれない。
逆に、東証マザースとかヘラクレスなど、比較的商いの薄い市場になってくると、売買する人が少ないので、成行にするととんでもない値段がついてしまったりする危険があります。そういう場合は、指値で買ったほうがいい。
あとは、相場の方向性にもよります。全体に市場が値を下げている場合は、売りのほうが多いのであえて成行にする必要はなく、指値でもいい。成行注文と、指値注文。もう一度じっくり考えてみてください。