中長期のインベンストメントでアクティブ運用をする場合を考えましょう。ファンドマネジャーに一任するのではなく、自分で銘柄選択をするには、どのような分析の方法があるのでしょうか。その方法は二つ。ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析です。
ファンダメンタルズ分析とは、企業の財務情報や経営の質などをベースに、株価が割安、割高と考えて投資判断するものです。運用会社では、ファンドマネジャーに情報を提供するアナリストが大勢いて、割安な株を探してくるのが仕事。本当は100円の価値があるのに80円で売っている株、それが割安ということです。みなさんがファンダメンタルズ分析をやるならば、こういうプロ中のプロと闘うことになります。
ファンダメンタルズ分析には、財務指標などを使って数字で比較する「定量的分析」というのがあります。プロのファンダメンタルズ分析は簡単にマネができるものではありません。ここでは最も基本的な数字として3つの指標をご紹介します。
一つ目の「株価収益率(PER:Price Earnings Ratio)」は、株価を「一株当たり年間税引後利益」で割った数、つまり1年間にもうけられる金額の何倍が株価であるかを示しています。たとえば300倍という数値であれば、300年分の利益が折り込まれてしまっていることになります。株価が下がるか税引後利益が上がるか、どちらかの現象が起きないとおかしいわけです。PERには期待値がかなり入っています。
次に「株価純資産倍率(PBR:Price Book-value Ratio)」は、株価がその会社の資産の何倍ぐらいか。株価を「一株当たり純資産」で割った数値です。つまり、その会社が今日で解散するとしたらどれぐらいの価値があるのかがわかる指標です。PBRが1倍より小さいとしたら、解散したほうが今の時価総額よりも高いことになり、会社として存在する価値がないことになります。普通は1より大きくなるはずです。
三つ目の「配当利回り」は、株価に対して年間の配当金がどれぐらいあるかを示しています。東証一部の平均が1.3%ぐらいですかね。配当利回りの数値が大きければ、配当金が高いか、株価が安いかのどちらかです。成長性の高い会社であれば、配当利回りが低くなり、成長が鈍くなっている電力会社などは、配当利回りが比較的高くなります。
この三つが、ファンダメンタルズ分析の定量的な分析として、もっとも基本的なものです。PERが高いほど株価は割高、成長期待がある。PBRが高いほど株価は割高、配当利回りが高いほど株価は割安となります。