REITのいいところは、小口で流動性があり、利回りが高く、プロが運用してくれる分散投資型の商品だということ。よくないところは、投資の判断をする情報を収集するのが難しいことです。
REITに組み入れられているビル名を見て、どの銘柄がいいかわかりますか? 賃料を比較的高く取れるビルでも、資産価値が落ちていってしまえば売るときに損ですし、逆に賃料は安くても資産価値が守られれば損はしないということになります。でも、それがどのビルなのか、素人にはなかなか判断できませんよね。さらに言うと、われわれが知りたいと思う「賃料はいくらか、テナントは何が入っているのか」などの情報はディスクローズされないんです。
もう一つ覚えておきたいのは、不動産会社がつくっているREITは、「利益相反」という問題を含んでいるということです。不動産会社は、REITに組み入れる不動産を自社が持っている物件の中から選ぶわけですから、たとえば新しく竣工する霞ヶ関のビルと、REITに組み入れた霞ヶ関のビルがテナントの奪い合いになるわけです。そうなった場合、本当に優良なビルをREITに組み入れるでしょうか。
もちろん信用問題にかかわるので、それなりにいい物件が入っているでしょうが、そこそこのリターンが得られるなと認知されてくると、「ここまでよいビルを入れる必要はないんじゃないか」と選別するでしょうし、自社で持っている物件の中で一番いいものはREITに組み入れないかもしれない。そういう可能性もあるわけです。みなさんがREITを買うとしたら、どんな物件が組み入れられたものを選びますか?