なぜ、今CSR(企業の社会的責任=Corporate Social Responsibility)なのかをお話する前に、今まで企業は社会とどのようにかかわってきたのかをお知らせします。皆さんご存知のように、日本社会は戦後、経済復興の大目標のもと、団塊の世代を中心に短い期間に大きな国の豊かさを手に入れようと努力してきました。企業は利益をあげることを何よりも優先させ、バブル経済を築きあげました。しかし、その一方で、社会との関係への配慮が手薄になった。その典型的な例が公害問題です。 やがて、日本はバブル崩壊を迎えました。不況のなかで活路を見いだそうとする中で、あらためて企業が真の意味での所有と支配の分離を迫られました。そして、「会社は誰のものなのか」という原点に戻ったときに、「会社の権力は株主のもの」という考えと、「会社の権力は社会全体のもの」という選択にたどり着きました。 当初は前者の論理を徹底させることで景気回復に向けて舵を切りました。経営の監督と執行の分離、スピード経営、リストラ、事業再編成、成果主義。その成果は確かに業績数字となって現れました。しかし、その反動として数々の不祥事を目にするようになったのです。 2000年以降をとってみても、大手メーカーの食中毒事件、自動車メーカーのリコール隠し、食肉業界における牛肉偽装事件、電力会社の情報虚偽の問題など数多くの事件があったことは記憶に新しいところです。 これらの企業の事故やトラブルが頻発していることを受けて、問題意識として最初に取り上げたのは、市民ではなく企業経営者でした。今までを深く反省し、その結果、「会社の権力は社会全体のもの」という見解に立って取り組み始めたのがCSRなのです。
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