海外をめざした理由とこれから挑戦する方へのアドバイス
大学生のころから途上国の貧困削減に携わりたいと思っていたので、「海外を目指した」というより、仕事の現場が海外でした。
国際協力の仕事では、途上国の人々や他の援助機関の外国人など様々な文化的背景を持っている人と一緒に仕事をすることになります。相手の考え方を尊重すると同時に、自分の考え方を伝えることも大切だと感じます。
途上国の政府機関の人々と村落部の貧困層の人々の生活状況はまったく異なるし、貧富の格差や女性の地位の低さなど、日本での生活とは大きく違う現実を見ます。貧困層のニーズを汲み上げていけるよう、政府機関の人だけでなく、様々な状況にある住民の意見を集めてくる努力が必要です。
気候や治安など生活環境が厳しい中で多くの業務をこなすので、精神的体力的にタフであることが必要だと感じます。貧困層の人々の生活が少しでも良くなったと感じられたときのうれしさが、国際協力の仕事を続けられる原動力です。
↑市内中心部。連邦政府各省のビルディング。立体交差の道路が行き交う
私は首都アブジャの中心地ウセ地区のアパートに住んでいます。1LDKで、75平米くらい。長期契約で1日あたり1万2500ナイラ(約1万円)。家具や電気製品は備え付けで、水道、電気、ガス代が含まれます。また、ナイジェリアでは大切なことですが、セキュリティが24時間体制で敷地内に配備されています。 アブジャは1991年から首都となった新しい街です。アブジャの住宅事情は非常に悪く、多くのところが1年や2年間の長期契約しか認めなかったり、全額前払いを要求されたりします。 そして驚くほどの住宅費の高さです。一戸建ての家で月額50万円くらい、アパートでも家賃が30万円くらいなのは普通です。しかし治安の確保が重要なので選択肢がありません。 一般公務員は市内のアパート、上級公務員は郊外の広い一戸建ての家が提供されています。多くの一般庶民は市内中心部から車で30分から1時間くらい離れている地区に住み、市内まで通勤しています。
ナイジェリア/アブジャ 甲斐田きよみさん
貧困層女性の起業支援
貧困層の女性は十分な教育を受けていなかったり、家事や農作業に忙しかったりという理由で職業に就くことが難しいです。しかし家事や農作業は現金収入にはならず、夫が収入を家計に入れる保証もないので、女性自身が経済力を得ることが必要です。 そこで、家事や農作業の合間にできることで女性たちは小金を稼ごうとします。裁縫やお菓子作り、農産物の加工が人気ですが、足踏みミシンが1台1万5千ナイラ、編み機が4万ナイラ、とうもろこしを粉にする製粉機は3万ナイラ必要です。 起業に必要な最初の資金がないため、多くの女性たちは協同組合を結成します。協同組合として政府に登録すると、機材の支援を得られたり、マイクロクレジット*1に申請しやすくなったりというメリットがあるのです。 ナイジェリアでは女性も男性もアフリカンドレスを着るので、仕立屋は大繁盛です。アブジャでは仕立て代は約1,000ナイラです。凝ったデザインになると2,000ナイラくらいは稼げます。地方では200から500ナイラ程度です。 女性が起業できるよう、職業訓練やマイクロクレジットの提供、また女性の社会的経済的活動がコミュニティから受け入れられるような啓発活動が、女性の起業支援に必要とされています。
↑女性対象の職業訓練教室
↑女性対象の成人識字教室
*1……マイクロクレジット(信用貸付) 貧しい人々の経済的自立を支援するために、少額の資金を無担保で融資するシステムで、貧困根絶に向けた一つの重要な手法
2.イギリス/ロンドン
250ナイラ ナイジェリアの現地食、エグシスープ
65ナイラ